油の適切な捨て方とは?タイミングの見極め方と注意点も解説

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揚げ物などで使った油や、賞味期限が切れてしまった油を捨てるとき、どのように処理したら良いか迷っている方もいるのではないでしょうか。油は排水溝に流したり、容器に入れたままゴミとして捨てたりしてはいけません。正しい方法で処理しないと、環境汚染を引き起こすだけでなく、火災や悪臭などの原因にもなるので注意が必要です。

今回は、油の適切な捨て方やタイミング、捨てるときのポイントを解説します。

油の適切な捨て方

油を鍋に注ぐ画像

油は基本的には可燃ごみとして処分しますが、液体の油をそのまま廃棄することはできません。

何の処理もせず液体の状態で捨ててしまうと、回収時に容器が破損して油が飛び散ってしまうことがあります。さらに、高温が続く真夏は、使用済みの油が自然発火するケースもあり、集積所や処理場などでの火災につながるおそれもあるのです。

思わぬ事故を防ぐためにも、油は次の方法で適切に処理してから捨てるようにしましょう。

固めて燃えるゴミとして捨てる

油を固めてしまえば、飛び散る心配もなく可燃ごみとして捨てられます。

市販の凝固剤を使う

市販の油凝固剤を使って固めるのが、手軽で一般的な方法です。まだ油が熱いうちに凝固剤を適量入れて混ぜ溶かし、そのまま放置して冷ましておくと徐々に固まります。

固まった油はフライ返しなどできれいに取れるので、ポリ袋などに入れて可燃ごみとして捨てましょう。

市販の凝固剤は、商品ごとに適量が設定されています。油の量に対して凝固剤の量が少ないとうまく固まらないため、商品の使用方法を確認し、適量を使って固めましょう。

片栗粉を使う

凝固剤を使うほどの油の量がないときは、片栗粉を使って固めることもできます。

油が冷める前に、油と同量の片栗粉を混ぜ合わせます。時間が経って油の温度が下がっていくとドロドロとした状態になるので、ポリ袋に流し入れて可燃ごみとして捨てましょう。

揚げ物でたっぷりの油を使ったときは、その分片栗粉も大量に必要になってしまいます。使用した油の量に合わせて、凝固剤と片栗粉を使い分けて固めてください。

紙や布に吸わせて捨てる

油は紙や布に吸わせて可燃ごみとして捨てることもできます。固める方法とは違って油を温める必要がないので、未使用の油を捨てるときにも重宝する方法です。

ただ、何かに吸わせて処分する場合でも、自然発火のリスクはあります。そのため、吸わせる前に油は完全に冷ましておく、油を吸わせたあとに水も少し染み込ませておくといった工夫も必要です。

新聞紙などに染み込ませる

紙を使う場合は、新聞紙やキッチンペーパーを使うのが良いでしょう。油の量が多いときは、洗って乾燥させた牛乳パックを容器として活用し、中に新聞紙やキッチンペーパーを詰めて油を注ぐのがおすすめです。

最後に水も加え、パックの口をテープやゴムでしっかり閉じて完了です。

使い古した布に染み込ませる

紙の代わりに、使い古した布やタオルを使って染み込ませることもできます。やり方は同じで、油の量に応じて牛乳パックや二重にしたポリ袋に布を詰めて油を吸わせましょう。

リサイクル施設に持ち込む

自治体によっては、使用済み油を資源ごみとして回収してくれる地域もあります。収集施設が近所にある場合は、各自治体の定める方法に従って、油をリサイクル施設に持ち込むのもおすすめです。

油は可燃ごみ?不燃ごみ?

使用済み油は「可燃ごみ」として処分するのが一般的ですが、自治体によっては資源ごみとして回収している場合もあります。

資源ごみとして出すときは、ボトルに入れた状態で回収されたり、回収場所に設置されている大きな容器に注いだりするなど、地域によって回収方法が違います。

住んでいる自治体のホームページなどで確認してみてください。

油を捨てるタイミング

油の画像

揚げ物で使った油を取っておいて、何度か使う方もいるのではないでしょうか。揚げ油を繰り返し使うときは、3~4回が使用限度の目安です。

しかし、肉や魚などを揚げた場合は通常よりも油が劣化しやすいため、3~4回はもたないケースも多々あります。ここでは、油を捨てるタイミングを正しく見極めるポイントを解説します。

油の色が濃くなったとき

油自体の色が茶色く変化してきたら処分のサインです。

揚げ物を繰り返して酸化が進むと、色が少しずつ茶色くなって黒ずんできます。鍋に注いだときに、鍋底が見にくいくらい変色していたら新しい油に交換しましょう。

嫌なニオイがするとき

油から生臭いようなニオイがしたら交換したほうが良いでしょう。

ごま油などを除き、油には本来強い香りはありません。ニオイがついてしまった油を使うと、揚げ物の仕上がりや風味にも影響が出ます。おいしく揚げるためにも、ニオイが気になる油は使わずに捨てましょう。

ドロドロとした粘り気があるとき

油を冷ましたときにドロッとした粘り気が出る場合も処分のタイミングです。

新しい食用油は、温度が低くてもさらさらとして粘りはありません。使い回して劣化するにつれて粘り気が出てくるため、使用前に油の状態をよく確認してみてください。

小さな泡が出てきて消えないとき

揚げ物をするときに細かい泡がたくさん出たり、揚げた後も泡が消えにくかったりしたら、油が劣化している可能性が高いです。

見た目がきれいでも、実際に使ったときに違和感がある場合は交換したほうが良いといえます。

180℃程度で煙が出るとき

油を熱したとき、180℃程度の温度でも煙が出る場合は、油が古くなっています。

新しくて質が良い油は、通常230~240℃まで熱しても煙は出ないものです。煙が発生するような油を使うと火災のリスクも高まります。無理やり使わず、凝固剤などを使ってすぐに処分しましょう。

油を捨てる際の注意点

油を入れている入れ物の画像

使用済みの油を捨てるときは、次の3つのポイントに注意して処分しましょう。

そのまま排水溝に流さない

油を液体のまま排水溝に流すのは厳禁です。

油は温度が下がると固まってしまうので、排水管の詰まりや悪臭の原因になります。また、排水溝に捨てたものは河川に流れ込んでしまうため、水質汚染や環境破壊につながるおそれもあるので絶対にやめましょう。

油が冷えてから処分する

紙や布に吸わせるなど、凝固剤を使わずに処分する場合は、しっかり油を冷ましてから行いましょう。

熱い状態で扱うと、自然発火して火災や火傷につながるほか、油を移す袋や容器を溶かしてしまう危険もあるからです。熱い油が流れ出してしまうと、キッチンの掃除がより大変になったり、火災やケガの原因になったりするので注意しましょう。

暑いところに長時間置かない

処分した油を気温が高い場所に長時間保管するのも危険です。放置している間に油の温度が上がり、特に夏場は自然発火するおそれもあります。

資源ごみとして液体のまま回収してもらう場合も置き場所に注意して、火災のリスクを減らす工夫をしましょう。回収日時が決まっている自治体もあるため、ルールを守らず高温の場所に置きっぱなしにしないように注意してください。

まとめ

油は直接排水溝に流さず、市販の凝固剤などで固めて可燃ごみとして捨てるのが基本です。資源ごみとして回収している自治体もあるため、お住まいの地域のルールを一度確認してみましょう。

また、油を捨てるタイミングは、油の劣化具合を見極めることで適切に判断できます。油を使う前によく確認して、おいしく安全に料理を作りましょう。

監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)

1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。

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