大根は煮物やサラダなどさまざまな料理に使える定番野菜ですが、「1本まるごと使い切れない」とお困りの方もいるのではないでしょうか。
大根は適切に扱えば長く保存でき、より手軽に大根料理を楽しめます。
今回は、大根の正しい保存方法やおいしい大根の選び方を解説します。
大根を冷蔵保存する方法
まずは、冷蔵庫で保存する方法を紹介します。
葉を落として丸ごと冷蔵|保存期間:2~3週間
大根を丸ごと保存したい場合は、根と葉の部分を分けて冷蔵します。
葉がついたままだと大根の水分が葉に吸い上げられて、根の部分の食感や味わいが落ちてしまうためです。
根の部分は新聞紙やキッチンペーパーでしっかり覆ってから冷蔵庫に入れましょう。この方法なら、2~3週間程度保存できます。
大きくカットして冷蔵|保存期間:約1週間
根の部分を大きめにカットして保存することも可能です。カットした大根は1つずつラップで包み、乾燥しないように工夫しましょう。
カットするときは、葉に近い「上部」、「中部」、先端の細い「下部」、「葉」の4つに切り分けると、それぞれの味わいや食感に応じた料理に使えるため便利です。
大根の部位ごとの特徴については、こちらも参考にしてみてください。
「大根は4つの部位に分けられる!各部位の特徴を解説」
葉の部分は切り落とした断面に濡らしたキッチンペーパーをあて、ポリ袋に入れて保存します。包丁を入れた面が多い分、日持ちは1週間程度と丸ごと冷蔵するときよりも短くなります。
大根を常温保存する方法
気温が低い秋から冬にかけての時期なら、大根は常温で保存しても問題ありません。風通しの良い場所に、大根を立てて保存するのがコツです。
ただし、気温が25℃を超えてきたら冷蔵庫または冷凍庫での保存に切り替えましょう。
冷蔵保存と同様に、葉の部分と根の部分は分けて保存します。切らずに丸ごと保存する場合は、濡らした新聞紙やキッチンペーパーで包み、こまめに交換しながら保存すれば、常温でも10日~2週間程度日持ちします。
カットした場合は個別にラップでくるんでおけば、1週間程度保存可能です。
大根を冷凍保存する方法
次に、大根を冷凍庫で保存する方法を紹介します。
大根の冷凍保存やおすすめレシピは、こちらのコラムでも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
「大根の適切な冷凍方法!食感や味を保つ3つのポイントとは?」
小さくカットして冷凍|保存期間:約1か月
カットした大根は、冷蔵保存では乾燥しやすく日持ちもしないため、使い切れない場合は冷凍保存がおすすめです。
ただし、大根は冷凍すると細胞壁が壊れ、通常よりもやわらかい状態になります。煮物やスープ、炒め物など加熱調理をする料理に活用しましょう。
手順
- 大根の皮をむき、食べやすい大きさに切る。
- キッチンペーパーで水気を拭き取る。
- 冷凍用保存袋に重ならないように入れて、冷凍庫に入れる。
下茹でして冷凍|保存期間:約1か月
大根はあらかじめ下茹でして冷凍することもできます。一度加熱したものは冷蔵だと鮮度が落ちやすいため、冷凍保存が適しています。
冷凍保存は、冷蔵保存に比べて新鮮さや栄養価、風味をより長く保てるのが特長です。さらに調理の手間を減らしたい場合は、あらかじめドレッシングなどで味付けしてから冷凍しておくのも便利です。
手順
- 大根の皮をむき、食べやすい大きさに切る。
- 鍋に大根と水を入れ、やわらかくなるまで茹でる。
- 火が通ったらザルに取り、しっかり冷ます。
- 冷めた大根の水分を拭き取り、冷凍用保存袋に並べて空気を抜き、冷凍庫に入れる。
下茹でして冷凍した大根は、解凍すると多くの水分が出てしまいます。そのため、スープや煮物などには、解凍せず凍ったまま加えましょう。
大根おろしにして冷凍|保存期間:約1か月
何かと使いやすい大根おろしは、大根を買った後にまとめてすりおろして冷凍しておくと便利です。
冷凍しても風味や口当たりはほとんど変わらず、おろしたてのような味わいが楽しめます。
手順
- 大根の皮をむいてすりおろし、ザルに取って水分を落とす。
- 小さめの保存袋に入れて密封し、冷凍庫に入れる。
より少量ずつに分けて冷凍したいときは、製氷皿に入れて冷凍するのもおすすめです。手でぎゅっと絞ると水分が抜けすぎてしまい、食感が落ちるので注意しましょう。
使う前は自然解凍か、電子レンジの解凍モードで常温に戻して使います。解凍した大根おろしは水分が出るので、水気を軽く絞ってから使ってください。
葉は小口切りで冷凍|保存期間:約1か月
大根の葉は味噌汁や炒め物などに使いやすいので、根の部分を保存するときに一緒に冷凍しておくのがおすすめです。
手順
- 大根の葉を切り離して根元からよく洗い、悪くなっている葉は取り除く。
- 鍋にお湯を沸かし、お湯1Lに対して塩を小さじ1加えて葉を2~3分程度茹でる。
- 茹でた葉をザルに取り、水分をしっかり絞って食べやすい大きさに切る。
- 冷凍用保存袋に入れ、冷凍庫に入れる。
葉を切るときは、5mm程度で刻んだり、2~3cm程度の大きさにカットしたりと、お好みの使いやすい大きさで構いません。
お浸しなどで使いたいときは、前日に冷蔵庫に移して解凍させておくと水分が出にくく、本来の食感や風味がキープできます。
スープや炒め物など加熱する料理に使う場合は、解凍せずにそのまま調理しても問題ありません。
大根を長期保存する方法
大根をより長く保存したい場合は、干し大根にする方法もあります。手順を守って適切に乾燥させると、半年程度常温で保存できるのでおすすめです。
手順
- 大根は皮つきのまま、薄切りや細切りなど好きな形に切る。
- ザルなどに重ならないよう並べ、風通しの良い場所で天日干しする。
- 日が沈んだら取り込んで、密封できる袋に入れて冷凍する。
- 冷凍と天日干しを2~3日程度繰り返し、お好みの乾燥状態になるまで続ける。
このほか、一般的な大根の干し方として15~20日程度天日干しのみで仕上げる方法もあります。どちらの場合も、雨に当たらないよう注意しましょう。
長くおいしさを保ちやすい新鮮な大根の選び方
大根の保存方法はさまざまありますが、購入する時点でより鮮度が良い大根を選んでおくと、長くおいしく保存できます。
ここでは、大根を選ぶときに見ておきたいポイントを5つ紹介します。
ハリとツヤがあるもの
まずは、ハリやツヤが良く、みずみずしさがある大根を選びましょう。
皮にしわが寄っているものは鮮度が落ち始めているので避けてください。
また、皮がカサカサしている大根はすでに乾燥が進んでおり、適切に下処理しても日持ちしにくいので注意が必要です。
真っ直ぐでずっしり重いもの
全体的に形が真っすぐで、重みがあるものも新鮮な大根です。
大根の重みは水分によるものなので、ずっしりとした大根はそれだけ水分を豊富に含んでいます。甘みも強いので、さまざまな料理がおいしく仕上がります。
重みが感じられないものや根が曲がっているものは、栄養や水分が不足している可能性があるため、避けましょう。
ひげ根の跡が浅いもの
根の部分にあるひげ根の跡が浅く、ボツボツしていない大根もおすすめです。適切なタイミングで収穫されたみずみずしい大根の証拠です。
本来、ひげ根は栄養を吸収する役割があります。しかし、店頭に並んだ時点でひげ根の跡が深いものは、大根が成長しすぎて鮮度が落ちている可能性があります。
繊維質で食感が劣る場合があるため、避けましょう。
葉の色が鮮やかな緑色のもの
大根の葉が色鮮やかで、しっかりと立っているのも新鮮さの証です。
葉の一部が黄色く変色していたり、しおれていたりする大根は、収穫から時間が経って鮮度が落ち始めています。
葉の部分も無駄なくおいしく調理するために、色味や見た目をしっかり判断して選びましょう。
(カット大根の場合)断面のキメが細かく、スが入っていないもの
すでにカットされている大根を選ぶときは、断面がきれいでス(※中にできる空洞や隙間)が入っていないかをチェックします。
スは主に根菜類が老化したときに起こる現象で、収穫遅れなどが主な原因とされています。スが入った大根は根の部分に空洞ができてしまい、風味も落ちてしまいます。
購入する前に断面をよく確認し、キメ細かくなめらかなカット大根を選びましょう。
まとめ
大根は冷蔵保存や冷凍保存のほか、季節が合えば常温保存や干し大根にして保存することもできます。葉の部分も冷凍保存できるので、根の部分と一緒に下処理しておくのがおすすめです。
今回の記事を参考に鮮度の良い大根を選び、適切に保存して、より長くおいしく大根料理を楽しみましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。