3月ごろになるとスーパーに生のたけのこが並び、春の訪れを感じさせてくれますね。たけのこは煮物や炊き込みご飯などさまざまな料理で楽しめますが、おいしく味わうためには早めのアク抜きが欠かせません。
今回は、たけのこをアク抜きする理由や基本のアク抜き方法を紹介します。米ぬかなしでアク抜きする時短術もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
たけのこをすぐにアク抜きする理由
たけのこを買ったあとアク抜きがすぐに必要な理由は、収穫から時間が経つにつれ、どんどんアクが増え続けていくためです。
たけのこのアクの正体はシュウ酸とホモゲンチジン酸で、これらを取り除かないと苦みや渋みが残り、口に入れたときにピリピリすることがあります。また、シュウ酸は摂り過ぎると健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
たけのこをおいしく健康的に楽しむためには、すぐに食べない場合でも、たけのこを購入したらその日のうちにアク抜きしておくことが大切です。
【基本】たけのこをアク抜きする方法
まずは、米ぬかを使ってたけのこのアク抜きをする基本のやり方を紹介します。
用意するもの
たけのこ(中程度の大きさ1~3本)のアク抜きに必要なものは、次の通りです。
- 米ぬか:1カップ(目安量。たけのこの大きさや湯量によって異なる。)
- 赤唐辛子:1~2本
- たけのこが入る鍋
- たけのこがかぶる量の水
たけのこの下準備
たけのこを茹でる前に、次の手順で下準備を行いましょう。
下準備1. 皮の生え際から下、根元の硬い部分を包丁で切り落とす
下準備2. 穂先の硬い部分、全体の1/5程度を斜めに切り落とす
下準備3. 穂先側に、縦に包丁を入れ、たけのこの実の1/3程度まで切り込みを入れる
下準備4. 泥がついている固い皮をむく
たけのこの皮は全部むかず、泥がついている部分だけむきましょう。皮をつけたままじっくり茹でることでアクがよく抜け、旨みを逃がさずに調理できます。
また、たけのこに切り込みを入れておくことで火が通りやすくなり、茹でた後に皮がむきやすくなります。
たけのこを茹でる
下準備ができたら、たけのこを茹でましょう。手順は次の通りです。
- 大きめの鍋を用意し、たけのこを寝かせた状態で入れる
- たけのこが少し水面から出るくらいの水を入れる
- 米ぬかと赤唐辛子を入れて軽く混ぜる
- 強火にかける
- 沸騰したら、落とし蓋をして弱火で1~2時間程度茹でる
- たけのこの根元に竹串を刺し、やわらかくなっているか確認する
- たけのこがやわらかくなっていたら火を止め、そのまま半日程度置く
- 完全にお湯が冷めたらたけのこを水で洗い、米ぬかを取り除く
- 下準備で縦に入れておいた切れ目から開くようにして皮をむく
手順5でお湯が沸騰したあと、強火のまま茹でるとえぐみが残ってしまうため、沸騰後は弱火に落としてじっくり茹でるのがポイントです。
落とし蓋がない場合は大きなお皿で代用し、たけのこが浮いてこないようにしましょう。茹でている間、蒸発によって湯量が減ってきたら、適宜水を継ぎ足してください。
なお、たけのこを半日冷ますのは、茹でた後もアクが出てくるためです。粗熱が取れただけではアクが残ってしまうため、半日程度しっかり冷ましてアクを出しきりましょう。
また、茹で汁を捨てたり水で洗ったりせず、浸けた状態のまま鍋ごと冷ますことで、たけのこの旨みをキープできます。
【米ぬかなし・時短】たけのこをアク抜きする方法
米ぬかがないときは、米のとぎ汁や生米でもたけのこのアク抜きが可能です。ただし、米ぬかを使う方法に比べると、えぐみが残ってしまう可能性があります。
米のとぎ汁を使う方法
米のとぎ汁でアク抜きする場合は無洗米を使わず、できるだけ濃いとぎ汁を用意しましょう。手順は次の通りです。
- たけのこを皮付きのまま適度な大きさに切り、鍋に入れる
- たけのこが9割程度ひたるまで米のとぎ汁を入れる
- 赤唐辛子を1~2本入れて火にかけ、沸騰したら落とし蓋をして弱火で茹でる
- たけのこがやわらかくなったら火を止め、お湯が完全に冷めたら皮をむく
生米を使う方法(時短)
忙しいときや急いでいるときは、生米でアク抜きすると時短になります。用意する生米の量は、たけのこ中1~3本あたりひとつかみ(約1/4カップ)です。
- たけのこを皮付きのまま適度な大きさに切り、鍋に入れる
- たけのこが9割程度ひたる量の水を入れる
- 鍋に生米を加える
- 中火にかけ、沸騰したら落し蓋をして弱火で約30分茹でる
- 火を止め、お湯が完全に冷めたら皮をむく
なお、生米についているぬかによってアクが取れるため、ぬかのない無洗米は使わないようにしましょう。
重曹を使う方法
重曹でアク抜きする場合は、水1リットルあたり小さじ1の重曹(食品用)を用意しましょう。重曹を入れすぎると特有のにおいが残ってしまうことがあるため、使用量に注意してください。
- たけのこを皮付きのまま適度な大きさに切り、鍋に入れる
- たけのこの9割がひたるくらいの重曹水を入れ、火にかける
- 沸騰してから弱火で30~40分程度茹でる
- 火を止め、お湯が完全に冷めたら皮をむく
たけのこをアク抜きする際のよくある疑問
最後に、たけのこのアク抜きに関する疑問について解説します。
Q1|買ってすぐに茹でるのはなぜ?
アクやえぐみの原因となるシュウ酸は、たけのこが竹に成長するために必要な成分で、収穫後どんどん増え続けます。そのため、購入後すぐに茹でることでアクやえぐみを抑えられ、おいしく食べられます。
また、日光に当たるとたけのこが光合成を始めてアクが増してしまいます。購入後すぐに茹でられない場合は少し湿らせた新聞紙でたけのこを包み、黒など光を通しにくい色のビニール袋に入れて保存しましょう。この方法で保存した場合でも、2日までを目安にアク抜きが必要です。
Q2|どうして米ぬかを使うの?
米ぬかに含まれるカルシウムがたけのこのえぐみの原因であるシュウ酸と結合し、えぐみを抑えられるためです。米ぬかだけでなく、米のとぎ汁にもカルシウムが含まれています。
また、もうひとつのえぐみのもとであるホモゲンチジン酸は、アルカリ性の液体で中和できるため、アルカリ性の性質をもつ米ぬかや米のとぎ汁、重曹でもアク抜きが可能です。
Q3|赤唐辛子はなぜ必要?
赤唐辛子に含まれる辛味成分「カプサイシン」には殺菌・抗菌作用があり、たけのこを茹でた後に傷みにくくします。
また、赤唐辛子には、米ぬか独特の臭みを軽減する作用があるともいわれています。
Q4|アク抜きしたたけのこはどうやって保存するの?
アク抜きしたたけのこは保存容器に入れ、たけのこが完全に浸かるくらいの水を入れて冷蔵庫で保存しましょう。水を毎日取り替えれば、1週間程度は保存可能です。
ただし、時間の経過とともにたけのこの旨みが抜けていくため、できるだけ早めに食べることをおすすめします。
たけのこの保存方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
「たけのこの保存方法(冷蔵・冷凍)とおいしさをキープするポイントを紹介!」
まとめ
たけのこは時間の経過とともにアクやえぐみが強くなるため、購入後できるだけ早めにアク抜きすることが大切です。米ぬかを使って弱火でじっくり茹でたり、半日冷ましたりなど少し手間がかかりますが、丁寧にアク抜きしたたけのこは味も香りも格別です。
基本のアク抜き方法のほか、今回紹介した米ぬかを使わない時短の方法も参考に、旬の時期しか味わえない生のたけのこを堪能しましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。