オクラは夏野菜の定番で、さまざまな栄養素が豊富に含まれている緑黄色野菜です。また、消化機能をサポートして夏バテ防止に良い野菜としても知られています。
オクラのねばねばにはペクチンという水溶性の食物繊維が含まれており、血中コレステロール値や血糖値を下げる働きがあるとされ、健康づくりにもぴったりの食材です。
今回は、オクラをおいしく食べるための下処理方法や、おすすめのレシピを紹介します。
オクラの下処理の手順
まずは、オクラを下処理するときの基本の手順を解説します。丁寧に下処理しておけば、色味や食感をより良く仕上げることができるので、ぜひ試してみてください。
手順1|ヘタとがくを取りのぞく
まずは、オクラについているヘタとがくを取ります。固い部分をあらかじめ取り除いておくと、食べたときの口当たりが良くなるのでおすすめです。
- 軽く水で洗う。
- ヘタの黒い先端部分を少し切り落とす。
- がくの部分を包丁で回すようにむいていく。
包丁でがくをむくのが難しい場合は、ピーラーでむいても問題ありません。
注意点として、ヘタを切る際、がくのところまで切り落とすと茹で上がりが水っぽくなってしまいます。ねばねばの成分も流出してしまい、オクラ本来のおいしさが損なわれてしまうため、ヘタは先端の固い茎のみを切るようにしましょう。
手順2|オクラのうぶ毛を取る
オクラの表面にあるうぶ毛は茹でる前に取っておきましょう。表面がなめらかになり、食感や舌触りがとても良くなります。
また、塩で処理するため、鮮やかな緑色に茹で上がりやすくなるメリットもあります。
基本の手順は次の通りです。
- オクラに小さじ1程度の塩を振る。
- オクラのうぶ毛を、手でこすりながら塩の摩擦で取り除く。
複数のオクラを処理するなら、板ずりもおすすめです。
- まな板の上にオクラを2~3本のせ、上から小さじ2分の1程度の塩をまぶす。
- 表面をこすりつけるように、両手でオクラを軽く転がす。
なお、うぶ毛を取るときについた塩は、塩茹でするならそのまま残しておきましょう。
炒めたり、電子レンジで加熱したりする場合は味が濃くなりすぎないよう、軽く払うか洗い流してください。
次の工程では、塩がついたまま茹でる場合の手順を紹介します。
手順3|オクラを茹でる
オクラをそのままお湯に入れて茹でます。
- 鍋にオクラが浸る程度の水を入れて沸騰させる。
- 1分~1分半程度でさっと茹でる。
- オクラをザルに上げ、すぐに冷水で冷やす。
- 冷めたらキッチンペーパーで水気をよく拭き取る。
オクラはアクが少ない野菜なので、オクラが浸る程度の少ないお湯で茹でられます。たっぷりのお湯を沸かす必要がなく、比較的調理時間が短く済むのも嬉しいポイントです。
さらに手軽に加熱したい場合は、電子レンジで加熱する方法もあります。こちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
「オクラの最適な茹で時間は?おいしい茹で方やレシピも紹介」
オクラの下処理に関する豆知識
ここでは、オクラの下処理に関する疑問について解説します。
オクラは生でも食べられる?
結論からいうと、オクラは茹でずに生でも食べられる野菜です。ただし、一度にたくさん食べると消化不良を起こしてお腹がゆるくなる場合もあります。
野菜が消化されるスピードは、加熱の有無で変わります。
一般的に、加熱した野菜よりも生の野菜のほうが消化に時間がかかるとされているため、オクラも生でたくさん食べてしまうと消化に時間がかかって胃腸に負担をかける可能性があるのです。
また、オクラには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が多く含まれています。なかでも、水溶性食物繊維は便をやわらかくする働きがあり、あまり食べすぎると便がゆるくなりすぎて下痢を起こすこともあるので注意が必要です。
ただ、食物繊維が豊富なオクラは便秘ぎみの方にはおすすめの食材なので、適量を守って食べる分には全く問題ありません。
オクラのうぶ毛を取る理由は?
オクラのうぶ毛は見た目以上に固く、あらかじめ取っておかないと口当たりが悪くなってしまいます。
オクラのうぶ毛は新鮮さの証拠で、しっかり生えているものほど鮮度が良くておいしいとされています。
しかし、うぶ毛があると口当たりが悪くなりおいしく食べられないため、丁寧に下処理をして取り除いておくのがおすすめです。
オクラを茹でると水っぽくなるのはなぜ?
ヘタとがくを全部切り落としてから茹でると、カットした部分から水分が入り込んで水っぽくなってしまいます。
調理したオクラの水っぽさが気になる場合は、下処理の方法を見直してみると良いでしょう。
なお、ヘタやがくが筋っぽくてどうしても全部を切り落としたい場合は、茹でてしっかり冷ました後に切るのがおすすめです。
【下処理の方法つき】オクラを使ったレシピ3選
ここでは、オクラを使ったおすすめのレシピを紹介します。レシピに合わせたオクラの下処理の方法も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
夏野菜のガーリックグリル
オクラを含む夏野菜を、にんにくの香り豊かに仕上げたグリル料理です。
オクラの下処理方法
- ヘタとがくを取る。
- オクラに包丁の刃先で1cm程度の切り込みを入れる。
- 耐熱皿にオクラを重ならないように並べ、ふんわりとラップをかける。
- 500Wの電子レンジで1分加熱する。
このレシピはトースターで調理します。うぶ毛はトースターで加熱するときに焼けてしまうので、うぶ毛を取る下処理は必要ありません。
材料(2人分)
- 赤パプリカ…70g
- 黄パプリカ…70g
- オクラ…70g
- 塩…適量
- 粉チーズ…適量
- ピエトロCHEF’S ガーリックオイル(下味用)…小さじ2
- ピエトロCHEF’S ガーリックオイル(仕上げ用)…小さじ2
作り方
- パプリカはやや長めの乱切りにする。下処理して電子レンジで加熱したオクラを食べやすい大きさにカットする。
- ボウルにカットした野菜を入れ、塩と下味用のガーリックオイルを加えて和える。
- 2を耐熱皿に移し、トースターで10分程度加熱する。
- 仕上げ用のガーリックオイルと粉チーズを全体に振りかける。
白まいたけとオクラの冷製スパゲティ
暑い時期に食べたくなる、冷たくてさっぱりとした和風冷製パスタです。
オクラの下処理方法
- オクラのヘタとがくを取る。
- うぶ毛を塩で取る。
- お湯で1分ほど茹で、冷ましてから小口切りにする。
茹でるときは、うぶ毛を取るときについた塩を洗い流さずに使うことで下味がつきます。レンジで加熱する場合でも、小口切りにするのは加熱してしっかり冷ましてからにしましょう。
加熱したオクラを氷水にさらして冷やすと、食感が引き締まってよりおいしくなるのでおすすめです。
材料(2人分)
- スパゲティ(乾麺)…200g
- 白まいたけ…1パック
- トマト…1/2個
- オクラ…4本
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ6~8
作り方
- 白まいたけは食べやすい大きさにほぐし、フライパンで炒める。
- トマトは種を取り除いて角切りにする。
- スパゲティは表示通りに茹でて氷水に取り、しっかり冷やして水気をきっておく。
- 盛り付けたスパゲティに1と2、カットしたオクラをトッピングし、ピエトロドレッシングをかける。
たことオクラのマリネ
歯ごたえのあるたことオクラを合わせた、箸休めにもおすすめのマリネです。
オクラの下処理方法
- オクラのヘタとがくを取る。
- うぶ毛を塩で取る。
- お湯で1分ほど茹で、冷ましてから輪切りにする。
茹でた後に氷水でオクラを冷ますと食感がアップしますが、あまり長く浸けてしまうとかえって水っぽくなってしまうので注意しましょう。
材料(2人分)
- 茹でだこ…100g
- オクラ…6本
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ2
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ(仕上げ用)…適量
作り方
- たこは食べやすい大きさの薄切りにする。
- ボウルに1と輪切りにしたオクラを入れ、ピエトロドレッシングを加えて和える。
- 器に盛り付け、仕上げ用のピエトロドレッシングをかける。
まとめ
オクラはヘタとがくを取り除いたり、表面のうぶ毛を塩でこすり取ったりしてから茹でると、色や食感がより良く仕上がります。生でも食べられますが、一度にたくさん食べすぎると胃腸に負担がかかるため注意しましょう。
さまざまな食材とも合わせやすいので、夏野菜を使った料理が食べたくなったら、おいしく下処理したオクラをぜひ活用してみてください。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。