「里芋は好きだけど、皮むきやぬめり取りが面倒……」
そんなお悩みはありませんか?
今回は、料理初心者の方でも簡単・安全にできる里芋の下処理や皮むき、加熱方法を分かりやすく紹介します。手間を解消するワザや工夫を知って、気軽に里芋料理に挑戦しましょう。
里芋の基本の下処理
ヌルヌルと滑りやすい里芋を安全においしく調理するには、正しい手順の下処理が欠かせません。
余分なぬめりが残ったままだと手が滑って危険なだけでなく、調理後の食感を損なう場合もあります。里芋料理をおいしく安全に仕上げるには、丁寧な水洗いと天日干しがポイントです。
手順1|洗って乾燥させる</h3>
里芋の下処理は、里芋特有のぬめりやねっとり感を損ないすぎない程度に行うのが理想です。
調理の前に次の手順で水洗いと天日干しをしておくと、皮の繊維や余分なぬめりが減り、皮むきがぐっと楽になります。
手順
- 泥付きの里芋は、ボウルやたらいにたっぷりの水を張り、里芋同士をやさしくぶつけ合うようにして洗う。
- 水が汚れたら入れ替え、繰り返し洗って皮表面の繊維や土、汚れを落とす。
- 洗い終わった里芋は、新聞紙やざるの上に並べ、風通しの良い場所で天日干しする。
乾燥させるのに時間がかかるため、買った日にまとめて水洗いし、使う前日までに干しておくと便利です。天日干しさせることで、かゆみ防止にもつながります。
手順2|皮をむく
里芋の皮むきには大きく3つの方法があります。里芋特有のぬめりを活かしたい、時短しながらむきたいなど、調理目的や使いやすさに合わせた方法を選びましょう。
【定番料理に】茹でてから皮をむく
煮物など、ぬめりを活かしたい料理には、茹でてから皮をむく方法がおすすめです。
手順
- 里芋の中央に浅い切れ目をぐるりと一周入れる。
- 鍋に里芋と1~2cmの高さの水、ふたつまみの塩を入れ、蓋をして中火で10~15分茹でる。
- 茹で上がったら、乾いたふきんやキッチンペーパーに包んで持ち、熱いうちに指で外側へすべらせるようにして皮をむく。(火傷に注意。粗熱をとってからでもOK)
【形重視なら】生のまま皮をむく
生のまま皮をむく方法は、茹でたやわらかい状態とは違って角の輪郭がしっかり残るため、見た目を美しく仕上げたい場合にぴったりです。
手順
- 里芋の上下を浅く切り落とす。
- 厚めに刃を入れ、6回に分けて側面の皮を縦方向にむく。(六方むき)
里芋は身の部分が変色していることもあるため、きれいに仕上げたい場合は六方むきのように厚めに皮をむくのがポイントです。
なお、色味が気にならない場合は、刃を皮なりに這わせるようにして薄く皮をむくと、里芋の栄養や風味をより残すことができます。
【時短におすすめ】レンジ加熱で皮をむく
忙しいときや手早く調理したいときは、レンジ加熱が便利です。
手順
- 中央に切れ目を入れた里芋を耐熱容器に入れ、1cmほど水を注ぐ。
- ラップをふんわりかけ、600Wで約4分(6個目安)加熱する。
- 竹串で火の通りを確認し、乾いたふきんで包んで皮をすべらせてむく。
+α|里芋のぬめりを取る
里芋料理の仕上がりのねっとり感を抑えたい場合、生のまま皮をむいた後に下茹でして、ぬめりを取ることがあります。
手順
- 生のまま皮むきした里芋を鍋に入れ、里芋がかぶるくらいの水を注ぐ。
- 強火にかけ、沸騰したら火を弱めて2~3分茹でる。
- ザルにあげ、熱いうちに40~50℃のお湯でよく洗い、表面のぬめりを落とす。
※下茹でした後は水ではなくお湯で洗うのがポイントです。水で洗うと身が硬くなり、ふわっとした食感が損なわれます。
ただし、ここでぬめりを完全に取り除いてしまうと、里芋ならではの風味や独特の食感まで失われてしまい、料理によっては物足りない可能性もあるので注意が必要です。
どのくらいぬめりを取るかは、料理の目的やお好みに合わせて調整しましょう。
例えば、炊き合わせや上品な煮物など、さらっとした仕上がりにしたい料理では、ある程度ぬめりを取ることがおすすめです。
煮っころがしやコロッケなど、ねっとり感を活かしたい料理では、ぬめりを取りすぎないほうがおいしく仕上がります。
里芋の切り方
里芋は料理に合わせて切り方を工夫することで、見た目だけでなく味の染み込み具合や向いている調理法も変わります。ここでは代表的な「乱切り」「4つ割り」「輪切り」の3種類の切り方を紹介します。
乱切り
乱切りは、食材を不規則な形に切る方法です。
断面が広くなるため、味が染み込みやすく、筑前煮や煮っころがしといった煮物に適しています。
手順
- 皮をむいた里芋に対して包丁を斜め45度に入れ、ひと口大に切る。
- 切り口を上に向けるように里芋を手前に回し、同じ角度で包丁を入れる。これを繰り返す。
包丁の角度は変えずに、里芋だけを回しながら常に同じ向きで切ると形がきれいに仕上がります。上に向けた切り口の中央に包丁を入れると大きさが均等になりやすいです。
4つ割り
4つ割りは、里芋を食べやすい大きさに揃える切り方です。
煮物をはじめ、ソテーや炊き込みご飯など、素朴な家庭料理に活躍します。小さい里芋は、2つ割りでもOKです。
手順
- 皮をむいた里芋を縦半分に切る。
- 半分に切ったものをさらに縦半分にして、4等分にする。
輪切り
輪切りは、里芋や大根など切り口の丸い食材を端から切る方法です。
焼き物やグラタンにおすすめの切り方です。厚さは、料理によって薄くしたり厚くしたり調整しましょう。
手順
- 皮をむいた里芋を横向きに置き、端からお好みの厚さにスライスする。
里芋の加熱方法
里芋の加熱方法には、「蒸す」「茹でる」「電子レンジ加熱」の3つがあります。それぞれの特徴を理解して、料理やシーンに合わせて選びましょう。
なお、皮をむく手順で「茹でてから皮をむく」「レンジ加熱で皮をむく」方法を選んだ場合は、すでに加熱が終わっている状態です。この場合、ここで紹介する追加の加熱作業は必要ありません。生のまま皮をむいた里芋を加熱する際の参考にしてみてください。
蒸して加熱する方法
蒸し器を使うと、里芋の旨みや甘みを閉じ込めながらしっとりやわらかく仕上がります。蒸し器がない場合は、深めの鍋とザルで代用可能です。
手順
- 蒸し器に下処理した里芋を並べ、水を張った鍋にセットして蓋をする。
- 水が沸騰してから10分ほど蒸し、竹串がスッと通るやわらかさになったら完成。
茹でて加熱する方法
里芋を鍋で茹でると、全体に均等に火が通り、表面がつるっとキレイに仕上がります。
蒸しや電子レンジ加熱よりも時間がかかりますが、味の染み込みが良いので、煮物におすすめです。
手順
- 鍋に下処理した里芋を入れ、かぶるくらいの水を注ぐ。
- 強火にかけ、沸騰したら火を弱めて10~15分茹で、竹串がスッと通るやわらかさになったら完成。
電子レンジで加熱する方法
電子レンジは、少量調理や時短をしたい方におすすめです。
電子レンジは加熱ムラが出やすいので、150~200gずつ加熱するのが目安です。途中で位置を変えると均等に仕上がります。
手順
- 耐熱皿に下処理した里芋を並べ、小さじ1程度の水を回しかける。
- ふんわりとラップをかけ、600Wで2分半ほど加熱する。
- まだ硬い場合は、10秒ずつ追加加熱し、竹串がスッと通るやわらかさになったら完成。
里芋のおいしいレシピ
ほくほく、ねっとりとした食感が魅力の里芋は、煮物以外にも洋風な料理でも活躍します。
ここでは、手軽で栄養バランスも良い、里芋のおすすめレシピを紹介します。ぜひ食卓に取り入れてみてください。
根菜たっぷりホットサラダ
れんこんやごぼうなどの根菜と一緒に炒め、ドレッシングでさっと味つけするだけのホットサラダです。
里芋のやわらかな口当たりと根菜の歯応えが絶妙にマッチします。
材料(2人分)
- れんこん…1/2個
- ごぼう…1/4本
- 里芋…3個
- 豚ロース肉…80g
- 小ねぎ…1本
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ3
作り方
- れんこん、ごぼうは薄切りにする。
- 里芋はレンジで加熱して5mm幅に切る。
- フライパンで豚ロースを炒める。
- 1を加えさらに炒める。
- ドレッシングを加えて味付けし、皿に盛って刻んだ小ねぎを散らす。
ピエトロイタリアンおでん
トマトガーリック味の洋風スープで煮込む、彩り豊かなおでんです。巾着に入れた里芋とチーズのとろける食感がたまりません。
材料(2人分)
- 鶏むね肉…60g
- ベーコン…4枚
- かぼちゃ…50g
- さつまいも…50g
- 里芋…20g
- キャベツ…4枚
- ミニトマト…4個
- マッシュルーム…2個
- うずらの卵(茹でたもの)…2個
- 油揚げ…2枚
- ミックスチーズ…20g
- 水…300cc
- おうちパスタ トマトガーリック…大さじ6
作り方
- かぼちゃ、さつまいもは食べやすい大きさに切る。
- ベーコンは半分に切ってミニトマトに巻く。キャベツもベーコンで巻いて串に刺す。
- 里芋は1cm角に切り、耐熱容器に少量の水を入れて電子レンジで加熱(600W 約2分)し、ミックスチーズと一緒に油揚げにつめて、楊枝でとめる。
- 鶏むね肉、マッシュルームは食べやすい大きさに切りうずらの卵と一緒に串に刺す。水300ccとおうちパスタを加えた鍋に入れ、1を加える。
- 火が通ったら2、3を入れ、さらに約2分煮込む。
まとめ
里芋の下処理や皮むき、加熱方法を正しく知ることで、面倒に感じていた調理が驚くほどスムーズになります。
里芋がおいしい季節は、ぜひ簡単な調理法を試して、旬の味を堪能してみてください。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。