ご飯と味噌汁の正しい位置は?和食の並べ方や基本マナーを紹介

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食事をテーブルに並べるとき、ご飯と味噌汁はどっちが左でどっちが右か迷ってしまったことはありませんか?配膳の正しい位置を覚えることは、和食の基本的なマナーのひとつです。お子さんが低学年であっても、正しいマナーを身に付けられるよう伝えておくと、今後役立つことがあるかもしれません。

 

とはいえ、なぜその位置が正しいのか、逆ではだめなのかなど、ふとした疑問がわくこともあるでしょう。そこで今回は、ご飯と味噌汁の正しい配膳位置や基本マナーを紹介します。

ご飯と味噌汁の正しい位置は?

和食の画像

 

まずは、ご飯と味噌汁はどっちが左でどっちが右か、正しい配膳の位置を解説します。

ご飯と味噌汁はどっちが左?

ご飯と味噌汁の正しい位置は、ご飯(主食)が左手前で、味噌汁(汁物)が右手前です。

 

和食では一汁三菜を基本として献立を立てることが多いですが、おかずの品数が変わってもご飯と味噌汁の位置は変わりません。一汁三菜の構成要素は次の通りです。

 

  • 主食(ご飯)
  • 汁物(味噌汁、吸い物)
  • 主菜(肉料理や魚料理など)
  • 副菜2品(野菜を含むおかず)

 

基本的に主菜は右奥、副菜は左奥に置きます。焼き魚や炒め物などの主菜は、器を置いたまま箸で口へ運ぶことが多いため、右利きを基準として手を伸ばしやすい右奥となっています。

 

そのほか、箸を置くときは箸の先端が左、持ち手側が右を向くようにするのが基本です。左利きの方であっても、食べるときに箸を持ち変えてから使うため、配膳のときは箸の先端を左に向けて置くのがマナーです。慣れ親しんだ仲の方が左利きの場合、箸の持ち手側が左に向くように変えて配膳することもありますが、ご飯と味噌汁、おかずを置く位置は変わらないため注意しましょう。

実はご飯と同じ!麺にも正しい位置がある

麺類の場合も基本的には、ご飯と味噌汁の位置と大きく変わりません。主食は左側に置くのが原則なので、麺料理のときも左側に麺、右側につゆを置きましょう。つゆを右側に置くことで、麺につけて食べやすくなります。

 

ただし、麺類とご飯がセットの場合は、ご飯を左側にして麺類を右側に置きます。天ぷらやかき揚げ、薬味などがあるときは、右奥に配膳するのが一般的です。

ご飯が左で味噌汁が右になったとされる理由

家族で考えている画像

 

そもそも、なぜご飯が左で味噌汁が右となったのでしょうか。ここでは、ご飯や味噌汁の位置が定着した理由について紹介します。お子さんに質問されたときでも答えられるように、この機会にチェックしておきましょう。

左優位の思想

ご飯を左側、味噌汁を右側に置くようになった背景のひとつに、「左清右濁(させいうだく)」という考え方があります。これは字の通り、清らかなものは左側に、濁ったものは右側に置くという意味のならわしです。

 

昔からお米は食べるためだけでなく、通貨や年貢などに使われることもあり、とても大切にされてきました。そのため、清らかなものであるご飯を左側へ、濁ったものである味噌汁を右側へ配膳する流れとなったのです。

 

また、日が昇る東側が上位であるという中国由来の思想から広がった「左上右下(さじょううげ)」の考え方に起因するともいわれています。

 

中国の皇帝は、常に定位置にある北極星を背にして南に向かって座ります。すると、皇帝から見て左側にある東の方角に日が昇ることから、左が上位であるという考えとなり、大切なものであるご飯は左側に置くようになったと伝えられているのです。

武家社会の右利き文化

ご飯を左側に配膳するようになったのは、武家社会の右利き文化のなごりともいわれています。

 

武士は刀を腰帯の左側に差し、右手で刀を抜くため、武家社会では左利きは御法度です。武士は武芸を最優先していたため、左利きから右利きへ矯正したとも伝えられています。右利きであれば箸は右手で持つようになり、ご飯は自然と食べやすい左側に置くようになるものです。

 

また、武家社会から始まった饗応(きょうおう)料理の影響もあります。饗応料理とは、客人をもてなすために、食べきれないほどの料理を提供し、見た目を豪華にしたものです。格式を重んじて、ご飯を左手前に置くルールが確立されたといわれています。

食べやすさ

日本人の多くは右利きなので、持つ回数の多いご飯を左側に、味噌汁を右側の位置に配膳します。こうすることで、茶碗を左手で持つ際に上げ下げしやすくなり、食べやすくなるからです。

 

とはいえ、左利きの方に気を遣って、ご飯と味噌汁の位置を逆にするのはおすすめできません。反対に置くのは、逆さ膳といって亡くなった方に供える置き方になるので注意しましょう。

和食をおいしく食べる基本的なマナーとは

ご飯と味噌汁を置く位置だけでなく、食べる順番にもマナーがあります。基本的には汁物→ご飯→主菜→副菜の順に食べていきます。順番にはそれぞれ意味があるため、しっかりと覚えておきましょう。

 

まずは、汁物から食べ始めます。先に汁物をとることで、お腹が温まり消化が促進されます。また、ご飯より先に汁物をとることで箸が湿り、米粒が箸にくっつきにくくなるため、食事がスムーズになるといったメリットもあります。

 

汁物の後は、味が薄いものから濃いものの順に食べ進めていきます。味付けの濃い料理から食べてしまうと、薄味のものを食べたときに素材そのものの味や風味がわかりにくくなり、物足りなさを感じてしまうことがあるためです。

 

また、特定の料理だけを食べ続けるとマナー違反になってしまうので、順番にバランス良く食べることが大切です。

ご飯やお味噌汁の位置は地域によって違う?

和食の画像

 

ご飯と味噌汁の位置は地域によっても異なる場合があります。ここでは関西と関東の配膳方法の違いについて紹介します。

関西では左奥に汁物を置くこともある

一般的に関東ではご飯を左側、汁物は右側に置きます。しかし、関西ではどちらも左側に寄せ、ご飯を左手前・汁物は左奥と、縦に並べて配置することがあります。

 

関西の飲食店では、ボリュームのある主菜を売りにしているお店が多く、主菜を目立たせるために左奥に汁物を置いたという説があります。主菜を手前に置いたほうが見栄えが良く、おいしそうに見えるという理由からきています。

 

また、商人は日々忙しく、時間を無駄にしたくないという考えから左奥に味噌汁を置く配膳になったともいわれています。右側に味噌汁があると、奥にある主菜に手を伸ばしにくかったり、急いで食べているうちにうっかり味噌汁をこぼしてしまったりする可能性があるためです。

 

このように汁物の位置には諸説ありますが、関西の商人気質の性格が配膳にも影響を与えていることがわかります。

現在は地域差がなくなってきている

関東と関西で汁物の位置が異なるものの、実は明確に配膳方法が決められているわけではありません。地域だけでなく、家庭によってもマナーが異なる場合があります。とはいえ、現在では配膳方法の地域差がなくなってきているともいわれています。

 

小学校の教科書には、地域によって汁物の配膳位置を変えるという記載はありません。汁物はすべて右手前に置くと教えられています。また、全国展開している大手チェーン店でも、ご飯は左手前・汁物は右手前に置くとマニュアルで決めているところもあるようです。

まとめ

和食では、ご飯を左手前、味噌汁は右手前に置くのが正しい食事のマナーです。麺料理であっても同じように左側に麺、右側につゆを置きましょう。

 

このような位置で配膳するようになったのは、左優位の思想や右利き文化、食べやすさなどの影響を受けています。地域によって配膳する位置が異なる場合もありますが、基本的なマナーを知っておくと、ご自身だけでなくお子さんの食卓への興味もさらに深めることができるので、この機会にぜひ覚えてみてくださいね。

この記事を書いた人

ピエトロラジオ編集部

1980年創業・レストラン発祥のピエトロが、毎日の「いただきます!」をたのしくする、食卓にまつわるアイデアやヒントをお届けします。

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