食べ終わりのテーブルマナーは、料理のジャンルによってルールが異なります。例えば、和食では箸の置き方や食器の扱いに、洋食ではナイフやフォーク、ナプキンの使い方に注意が必要です。
今回は、日本でもなじみの深い和食・洋食・中華の3つのジャンルに分けて、食べ終わりのテーブルマナーを詳しく紹介します。どれも周囲の方を思いやる基本的な礼儀作法なので、正しく実践して気持ちよく食事時間を締めくくりましょう。
【和食】食べ終わりのテーブルマナー
日本の食文化では、細やかな気配りが求められます。ここでは、食べ終わったあとの箸や食器の置き方について確認しておきましょう。
箸の置き方
和食では、使って汚れた箸の先を他の人に見せないのがマナーです。しかし、箸置きや箸袋があるかどうかによって対応が異なるため、詳しく解説していきます。
【箸置きがある場合】
箸置きが用意されている場合、使用後の箸はその上に置きます。また、懐紙が用意されていれば、箸の汚れを拭き取ってから箸置きに置くのがマナーです。
【箸置きがない場合】
箸置きが用意されていない場合、箸をお皿の上に置くのはマナー違反です。おぼんがある場合は、おぼんからはみ出さないように箸を水平に置きましょう。なお、おぼんも箸置きもない場合は、お皿のふちに立てかけるようにして箸を置きます。
【箸袋がある場合】
箸袋がある場合は、箸紙に戻します。このとき、使用済みである印として箸袋の先や中央を折ってからしまいましょう。
箸袋を折って箸置きとして使用した場合は、箸先を結び目や折り目に入れて隠します。また、爪楊枝を使用した際は箸袋に一緒にしまっておくのがマナーです。
なお、箸を折るのは縁起が悪いとされているため、使用済みの割り箸であっても控えましょう。
食器の置き方
和食では食器の取り扱いにもマナーがあります。ここでは食後のお椀やお皿の置き方について確認しましょう。
【お椀の蓋は、元通りに置く】
蓋を開けたままにしたり、蓋を裏返しにして食器に重ねたりするのはマナー違反です。漆器がこすれて傷ついてしまうため、食事が運ばれてきたときと同じように蓋はお椀にかぶせましょう。
また、汁物に入っているハマグリやアサリの殻は、身を食べたあとも蓋にのせたりせず、お椀に入れたまま食事を進めるのが正解です。食後はそのまま蓋をお椀に戻しましょう。
【食後にお皿を重ねて置くのはマナー違反】
「片づけやすいように」という気遣いから、使用済みの食器は重ねたほうが良いと考える方もいます。しかし、お皿が傷つく原因になるため、食器はそれぞれ元の位置に戻しておくのが望ましいです。
【洋食】食べ終わりのテーブルマナー
洋食における食後のマナーは、カトラリーやナプキンの置き方がポイントです。それぞれについて解説します。
カトラリーの置き方
洋食においては、ナイフやフォークなどの置き方で食事中と終了を区別します。
食事終了を示すポピュラーな置き方は、お皿を時計に見立てたとき、自分から見て4時の方向(右斜め下向き)にカトラリーを置く方法です。ナイフは刃を内側に、フォークは背を下にして、右下側に揃えるように並べましょう。
食べきれない場合は、残した料理をナイフで右に寄せてから、同様の位置に置きましょう。食事が終わった合図となり、皿を下げてもらえます。
また、カトラリーの置き方はフランス式とイギリス式などさまざまな種類があります。どちらも並べ方自体は同じですが、それぞれ置く際の角度が違うので、参考としてあわせて知っておきましょう。
フランス式の置き方
フランス式では、3時の方向(右側横向き)にカトラリーを置きます。
イギリス式の置き方
イギリス式では、6時の方向(下縦向き)にカトラリーを置きます。真ん中の位置にカトラリーを置くのは、左右どちらからでも下膳しやすくするためといわれています。
ナプキンの置き方
ナプキンの置き方は、食事の満足感を示すサインになり、知らないと誤解を生む原因になるので注意が必要です。
基本的なマナーとしては、ナプキンを軽く畳んでテーブルの右上に置きます。汚れた面が見えないよう配慮して、キレイに畳み過ぎないのがポイントです。几帳面に畳んでしまうと、「料理が口に合わなかった」「サービスが悪かった」という意味に捉えられる場合があります。
ただし、くしゃくしゃのまま置いておくと品が損なわれるので、ナプキンの角をずらす程度が無難です。
【中華】食べ終わりのテーブルマナー
中華料理には、独特の食べ終わりのマナーがあります。日本の文化とは大きく認識が異なるので、しっかり理解して楽しみましょう。
食器類の置き方
中華料理では、食事中と食後を区別するために食器の重ね方や箸の置き方にルールがあります。
【取り皿は重ねて置く】
大皿料理を取り分けて食べることが一般的な中華料理では、味が混ざらないよう料理ごとに新しい取り皿を使用するため、食べ終えた取り皿はどんどん重ねて置くのが一般的です。
また、食べたあとに骨や殻などが残った場合は、基本的に取り皿ではなくテーブルに直接置きます。中華料理ではナプキンやテーブルクロスの汚れを「料理がおいしかった」サインとして解釈します。汚さないように配慮する必要はないので、気軽に使いましょう。ですが、抵抗がある方はお皿の上に置いても問題ありません。
【回転テーブルに食べ終えた食器を置くのはマナー違反】
回転テーブルは、皆で取り分けたり使ったりするものだけを置くのが原則です。そのため、回転テーブルの上に食べ終わった取り皿やグラスを置くのは、マナー違反となるので注意しましょう。他の人のスペースを占有してしまわないよう、食器はテーブルの端や周囲に迷惑にならない場所に置きます。
【箸は横向きに置く】
中華料理において、食事中は箸を縦向きに置き、食事が終わった後は横向きに置くのがマナーです。「食器を片付けて良い」というサインになるので、覚えておきましょう。
なお、日本には横向きに箸を置く文化があるので、中華料理を食べている際に同じ振る舞いをすると食事中のお皿が下げられてしまうことがあるので要注意です。
食事を一口分残す
中華料理では、大皿に盛られた料理を一口分残すのがマナーです。この行為が「おもてなしに満足しました」という気持ちの現れとして受け取られます。一方で、食事をすべて食べ切ってしまうと「料理が足りなかった」と捉えられてしまうのです。
ただし、自分の取り皿によそった料理は残さずに食べましょう。
まとめ
食事が終わった後のテーブルマナーは、和食・洋食・中華と文化によって異なりますが、共通しているのは「他人への思いやりを示す礼儀作法」であるということです。
和食では箸や食器の置き方、洋食ではカトラリーやナプキンの置き方、中華料理では食器の重ね方や箸の置き方に配慮しましょう。
各料理ジャンルの基本的なマナーを理解しておけば、旅行や外食の際に気持ちよく食事を締めくくれるはずです。ぜひ、実践してみてください。
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ピエトロラジオ編集部
1980年創業・レストラン発祥のピエトロが、毎日の「いただきます!」をたのしくする、食卓にまつわるアイデアやヒントをお届けします。