【プロが解説】包丁を砥石で研ぐ手順や切れ味を保つコツとは?

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

包丁は、適切なタイミングで砥石(といし)を使って研ぐことで、無理なく鋭い切れ味を保ちやすくなります。今回は、シェフ歴35年以上の料理のプロが教えるやり方をベースに、家庭でもできる砥石を使った正しい包丁の研ぎ方と、切れ味を長く保つためのポイントについて解説します。

包丁を研ぐ適切なタイミングは?

包丁を研いでいる画像

包丁は日々の使用で徐々に切れ味が落ちていきます。適切なタイミングで研ぐことで、調理がスムーズになり安全性も高まります。

毎日包丁を使う方は月に1回程度研ぐのが理想的です。

週に数回程度しか使わない方は、切れ味が落ちてきたと感じたタイミングで研ぎましょう。具体的には、トマトがきれいに切れなくなった、たまねぎを切ると涙が出やすくなった、パンを切るとパンくずが多く出るといった状態になったら研ぎ時です。

包丁の切れ味が落ちると調理の効率が下がるだけでなく、力を入れて切ることで包丁を傷めてしまったり、思わぬケガにつながったりする危険性も高まります。定期的なメンテナンスで、快適な調理環境を整えましょう。

砥石を使った包丁の研ぎ方

包丁を研ぐ画像

ここでは、家庭で一般的に使われる両刃包丁を右利きの方が研ぐ場合を想定し、正しい包丁の研ぎ方の流れを追いやすいよう順番に説明します。

【前準備】砥石の選び方

前準備として砥石を用意しましょう。自宅での包丁研ぎなら「中砥石」と書かれたものが扱いやすく、番手がある場合は#800〜#1000あたりが初めてでも安定した仕上がりになりやすいとされています。砥石は研ぐときに動きやすいため、専用の研ぎ台を用意しておくと安心です。

さらに、研いだ刃先を滑らかに整える仕上げ砥石があると、包丁の切れ味が格段に上がりやすくなります。

なお、家庭でよく使われる「シャープナー」は砥石のように刃先の角度を整えるものではなく、包丁に傷をつけて摩擦を増やすことで一時的に切れ味を出す仕組みです。

刃ももろくなりやすいため、長く包丁を愛用したい場合は砥石で研ぐことをおすすめします。

1. 砥石を水に浸してセットする

まず、砥石は研ぐ前にしっかり吸水させておく必要があります。気泡が出なくなるまで(目安は約20分)水に浸し、時間に余裕があるときや買ったばかりの砥石を使う場合は一晩置くとより馴染みやすくなります。

吸水後は研ぎ台に置いて安定させ、研ぎ台がない場合は濡らした布巾を敷いて固定します。種類によっては浸水不要のものもあるため、説明書を確認しておくと安心です。

水に浸す画像

2. 包丁を45度に構える

右手で包丁を握り、刃元の腹部分を親指でそっと押さえて持ちます。刃を自分の方へ向け、砥石に対して包丁が45度の角度になるよう向きを整えます。左手は軽く添えて安定させる程度にすると動きがスムーズです。

包丁を構える画像

3. 表面を研ぐ

包丁全体を一度に研ぐのは難しいため、切っ先(尖っている刃の最先端)・刃先・真ん中・アゴ(柄に近い部分)の4つに分けて順番に研ぎます。

刃線(切刃)を約10度で当てる

刃線(切り刃)を砥石へ軽く当て、包丁の下に10円玉が1枚入るほどの角度(約10~15度)を目安に刃を持ち上げます。

刃先の角度の画像

手前から奥へ押し出す

軽い力で包丁を手前から奥へ滑らせるように動かします。強く押しつけなくても砥石が削ってくれるので、落ち着いて一定のリズムを意識します。

力が偏ると砥石の特定の場所だけが削れていってしまうため、砥石を平らに薄くスライスするイメージで均一に力をかけると良いでしょう。

押し出す画像

力を入れずに引く

押し出したら、戻す動きは力を抜いて滑らせるように引き戻します。押す・戻すの動きを繰り返すことで均一に研げます。

引く画像

また、研ぎ汁は流さず残したままにし、砥石の表面はうっすら水が溜まる程度をキープします。砥石が乾きはじめてきたら、必ず水を砥石にかけて潤わせましょう。研ぐ音が大きくなったら乾きはじめたサインです。

カエリをチェック

50回ほど押し引きを続けると、刃の側面にザラッとしたカエリ(バリ)が現れます。これが出ていれば研げている証拠なので、同じ要領で刃の先端、中央、そしてアゴへと場所を移して研ぎ進めます。

押し引きの回数は、普段からお手入れをしている場合は30回、久しぶりのお手入れでは増やすなど、カエリの状態を見ながら調整しましょう。

カエリチェックの画像

4. カエリを取って仕上げる

仕上げでは、砥石の角に刃を10度ほど立てて軽く当て、2~3回だけ切りつけるように動かしてカエリを取り整えます。力を入れず、刃の先端だけを滑らせるイメージで行うと自然に仕上がります。

仕上げの画像

5. 裏面を研ぐ

表面が研げたら、刃は自分の方に向けたまま包丁を左手で持ち直し、表面のときとは左右対称になるように構え直します。刃を当てる角度や、切っ先・刃先・真ん中・アゴの順で研いでいく流れは表面と同じです。

左手で持ちにくい場合は、右手のまま刃を奥側に向けて持ち直しても大丈夫です。

裏面の構えの画像

6. 包丁をよく洗う

研ぎ終わった包丁は中性洗剤で研ぎ汁をしっかり落とし、水気を拭き取ります。砥石は水で軽く洗って風通しの良い日陰で2~3日干し、完全に乾燥させてから保管しましょう。

包丁の切れ味を長持ちさせる日常の使い方

包丁の画像

毎日使う包丁の切れ味は、ちょっとした心がけで長く保つことができます。研ぎに出す頻度を減らし、ストレスなく調理を楽しむための日常の使い方のコツを紹介します。

刃へのダメージが少ないまな板を選ぶ

包丁の刃は食材を切る際、必ずまな板に当たることで少しずつダメージを受けています。切れ味を長持ちさせるためには、刃当たりが優しいまな板を選ぶことが重要です。

木製やゴム製のまな板は比較的やわらかく、刃へのダメージが少ないためおすすめです。適度な弾力があるため、包丁の刃先が当たった際の衝撃を和らげてくれます。

反対に、ガラスや大理石でできたカッティングボード、硬度の高いプラスチック製のまな板は刃を潰す原因になるので避けるようにしましょう。

硬いものは専用の道具で切る

普段使いの三徳包丁やペティナイフで硬いものを切ると、刃こぼれの原因になります。カニの甲羅や大きな魚の骨、冷凍食品などの硬い食材には、専用の包丁や道具を使うことをおすすめします。

特に冷凍食品は、解凍してから切るか、厚みのある包丁(出刃包丁など)を使うようにしましょう。また、かぼちゃなどの硬い野菜は、レンジで少し加熱してやわらかくしてから切ると包丁に負担をかけません。

硬いものを避けることで、包丁の寿命は大きく延びます。

刃先を立てて食材を集めるのはNG

まな板の上で切った食材を集める際、ついつい刃先を立ててスライドさせていませんか?この方法では刃にダメージを与えるだけでなく、まな板も傷つけてしまいます。

食材を集める際は、刃を寝かせるか、包丁の背(峰)を使いましょう。

ただし、菜切りや薄刃包丁であれば、平たい先端部分を使って集めることもできます。また、専用のスクレーパーを使うのも良い方法です。

刃先への小さなダメージが積み重なって切れ味の低下につながるので、日常の些細な使い方にも注意しましょう。

汚れと水気は早めに拭き取る

汚れや水気は包丁の大敵です。ステンレス製の包丁であっても、汚れや水気を放置するとサビが発生し、刃がボロボロになったり、刀身に穴が開いてしまったりします。

包丁を長く使うための基本は、使用後すぐに洗って、水分をきちんと布巾などで拭き取ることです。特に鋼製の包丁は、切れ味が良く耐久性も高い一方で、水分が残ったままだとサビが発生しやすいので注意が必要です。

さらに、レモンなどの酸性の強い食材を切った後はなるべく早く洗うようにしましょう。

まとめ

包丁は適切なタイミングで研ぎ、日常の扱いを少し整えるだけでも切れ味が安定しやすくなります。

砥石による丁寧な手入れと、刃に負担をかけない使い方を意識しながら、気持ち良く料理ができる状態を保っていきましょう。

監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)

1971年3月29日生まれ。 シェフ歴35年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

TOP すべての記事 【プロが解説】包丁を砥石で研ぐ手順や切れ味を保つコツとは?

PICK UP

ピックアップ