大根を調理したとき、思っていた以上に辛くなったり、水っぽくなってしまったりしたことはありませんか。実は大根は4つの部位に分けられ、それぞれで特徴と適切な調理法が異なります。
今回は大根の部位ごとの特徴や調理方法、ご家庭で簡単に作れるレシピを紹介するので、ぜひ日々の調理に活かしてみてください。
大根の部位は大きく分けて4つ
大根は根の部分(上部・中部・下部)と葉の4つの部位に分類され、甘さや辛さ、食感、栄養価がそれぞれ異なります。詳しくみていきましょう。
部位1.上部(葉に近い部分)
大根の葉に近い上部は、甘みが強く歯ごたえがあるのが特徴です。さらに、水分が多くシャキシャキとした食感を楽しめるため、生のまま調理するサラダや和え物といったメニューに適しています。シンプルにスライスしてドレッシングをかけたり、スティック状にしてディップソースにつけたり、刺身のツマにして食べるのもおすすめです。
また、大根にはビタミンCや消化をサポートするジアスターゼ(酵素)が豊富に含まれています。
ジアスターゼは、胃が弱い方や便秘の方の健康サポートに役立つ成分です。しかし、熱に弱い性質があるため、サラダやディップといった加熱をしない方法で食べることで、より効果的に摂取することができます。
部位2.中部
大根の中間部分はしなやかでみずみずしく、甘みと辛味のバランスが取れている部位です。加熱すると柔らかくジューシーな食感になり、大根本来の甘さが引き立ちます。
クセが少ないので、大根そのものの味わいを楽しめる煮物や大根ステーキ、ソテーといった調理法がおすすめです。
部位3.下部(先の細い部分)
大根の下部は、辛みが強く、繊維質で筋っぽいのが特徴です。そのため、生で食べる場合は、辛めの大根おろしや塩もみ、漬物が適しています。辛みが苦手な方は、みそ汁の具にするのがおすすめです。
大根の辛さは、「イソチオシアネート」という辛み成分によるもので、大根の下部に行くほど含有量が多くなります。
イソチオシアネートには食欲増進や抗菌作用、生活習慣病の予防効果も期待されています。効率良く吸収するには、加熱よりも生食が良いとされているため、上記のような食べ方で取り入れてみましょう。
部位4.大根の葉
大根の葉は、そのままだと苦味や青っぽさがありますが、ひと手間加えることでおいしく食べることができます。煮物や汁物の具、ふりかけ、漬物、菜飯など幅広く使うことができるため、余すことなく使うことで節約にも効果的です。
大根の根に含まれる栄養価も高いですが、実は大根の葉にはビタミンCをはじめ、ビタミンA、ビタミンK、カルシウム、鉄など、より多くの栄養が詰まっています。捨ててしまわずにおいしく調理して、健康維持に役立てましょう。
大根おろしは部位によって味わいが変わる!
大根おろしの味わいは、使用する部位によって大きく変わります。
葉に近い上部でつくる大根おろしは辛みが少なく、比較的マイルドで食べやすいため、焼き魚の添え物やおろし和えなどに最適です。
また、辛さはおろし方でも調節できます。なるべく辛みを抑えたい場合は、おろし金に対して円を描くようにおろしてみましょう。
一方、辛い大根おろしが好みの方には、下部のさらに先端に近い部分を使うのがおすすめです。より辛くしたい場合は、おろし金に対して直線的に力強くおろすと、細胞が細かく破壊されて辛みが増すので、ピリッと刺激的な辛さの大根おろしを楽しめます。
また、大根おろしは作ってから時間を置くと辛みがやわらぎますが、酵素やビタミンは減っていきます。お酢を混ぜておくと味と栄養価の低下を軽減できますよ。
部位ごとの特徴を踏まえて大根を調理してみよう
大根の部位の特徴を掴んだところで、今度は調理に活かしていきましょう。ここでは、大根の上部、中部、下部それぞれのおすすめレシピを紹介します。
【大根上部がおすすめ】大根と水菜ののりサラダ
甘みのある大根の上部がおすすめのサラダです。ピーラーでリボン上にスライスした大根と水菜のシャキシャキ食感を存分に楽しめます。どんなドレッシングでもおいしく召し上がれますが、ベーシックなしょうゆ風味がよく合います。
材料(2人分)
- 大根…70g
- 水菜…40g
- ミニトマト…2個
- のり…適量
- のり(仕上げ用)…適量
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ2
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ (仕上げ用)…適量
作り方
- 大根は皮を剥いてピーラーでスライスにし、水菜は約5cm幅に切り、洗って水気をきる。
- ボウルに1、のり・ドレッシングを加えて混ぜ合わせる。
- 器に2を盛り、半分に切ったミニトマトと仕上げ用ののりをのせ、ドレッシングを全体にかける。
【大根中部がおすすめ】大根ステーキ きのこベーコン添え
柔らかくてみずみずしい大根の中部を使った大根ステーキです。加熱により甘みが引き立ち、大根の優しい味わいを堪能できます。大根の葉も付け合わせにして、余すことなく楽しみましょう。
材料(2人分)
- 大根(葉付き)…300g
- ぶなしめじ…80g
- ベーコン…2枚
- ピエトロドレッシング グリーン 和風しょうゆ…大さじ2
作り方
- 大根は皮をむいて3cm幅に切る。600wの電子レンジで1分30秒加熱した後、フライパンで焼く。焼色がついたら取り出す。
- 大根の葉、ベーコン、ぶなしめじは食べやすい大きさに切る。
- 油を引いたフライパンで2を炒め、ドレッシングで味つけをする。
- 1を器に盛り、上から3をかける。
【大根下部がおすすめ】野菜のスティックピクルス
辛みが強く繊維の多い大根の下部は、ドレッシングに漬けこんでピクルスにするとおいしく食べられます。手軽に作れるので、常備菜にもおすすめです。
材料(2人分)
- きゅうり…1/2本
- にんじん…1/2本
- 大根…50g
- セロリ…1本
- ピエトロドレッシング グリーン 和風しょうゆ…50g
作り方
- セロリはスジと葉を取り、10〜15cmの長さに切る(葉も使用する)。
- きゅうりは縦1/4に切る。
- にんじんと大根は皮をむき、セロリと同じ長さと太さに合わせてスティック状に切る。
- 野菜とドレッシングを冷蔵用保存袋やポリ袋に入れ、一晩漬けこむ。
- 彩りよく皿に盛り付ける。
まとめ
大根は部位ごとに特徴や適切な調理法が異なるので、おいしく楽しむためには使い分けが肝心です。大根の甘みを味わいたいときは根の上部、辛さを堪能したいときは根の下部を使うなど、部分ごとの特性を活かして調理してみてください。
また、捨ててしまいがちな葉の部分にも栄養がふんだんに詰まっています。余すことなく使って、おいしく健康を維持しましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。