ゆで卵を好みの固さに調節するのは、なかなか難しいですよね。思ったよりも固くなった、または半熟になりすぎてしまったなどの経験をしたことがある方も多いでしょう。
今回は、ゆで卵を理想の固さにするコツや豆知識を紹介します。
ゆで卵のゆで時間は何分がおすすめ?
ゆで卵はどのくらいで理想の固さになるのでしょうか。
ここでは、ゆで卵のゆで時間と、ゆで時間ごとの中身の状態について紹介します。
ゆで時間別の卵の状態
冷蔵庫から出してすぐの冷たい卵を、熱湯に入れる場合の目安のゆで時間は、次の通りです。
時間 | 状態 | 特徴 |
---|---|---|
6分 | 超半熟 | 黄身は流れるようにとろとろしており、白身もやわらかい。 |
7分 | 半熟 | 黄身は中心部がとろとろで外側が少し固まっている。 白身は固まっているがやわらかい。 |
8分 | 半熟 | 黄身はとろとろの部分と固まっている部分が半々になっている。 白身はやわらかく固まっている。 |
9分 | 半熟と固ゆで | 黄身は流れ出ない程度に固まり、ねっとりしている。 白身は程よくやわらかく固まっている。 |
10分 | 固ゆで | 黄身の外側はしっかりと固まっており、黄色になっている。 白身はしっかり固くなっている。 |
11分 | 固ゆで | 黄身の中心だけ色が濃く、それ以外は黄色くしっかり固まっている。 白身は弾力がある固さになっている。 |
12分 | 固ゆで | 黄身の中心部まで完全に火が通った状態になっている。 白身は固ゆでの状態で固まっている。 |
同じ固ゆででも、10分と12分では中の状態が異なります。1分違うだけで大きく異なるため、好みのゆで卵にするにはきっちりと時間管理をすることが大切です。
なお、冷蔵庫から出してすぐの冷たい卵と、常温に戻した卵では、ゆで時間が同じでも仕上がりが異なります。
卵を常温に戻してから熱湯でゆでたい場合は、上記の表示よりもゆで時間を短く設定してゆで加減を調整しましょう。
使う料理別の理想のゆで時間
作りたい料理によって卵のゆで時間を調節すると、料理をさらにおいしく仕上げられます。
例えば、丼ものやサラダのトッピングとして使うなら、黄身がとろっとした半熟状態の7分~8分がおすすめです。
また、サラダやタルタルソース、サンドイッチに使う場合は、黄身が流れると食べにくいので固ゆでの11分~12分が良いでしょう。
ゆで卵を理想の固さで作る方法
次に、ゆで卵を理想の固さでゆでる手順やコツについて紹介します。
1.卵を準備する
卵を剥きやすくするために、卵の丸いほうに小さな穴やヒビを入れておくのがおすすめです。
卵の丸いほうには気室という空気が入った部分があり、その部分なら穴をあけても中身が漏れる心配はありません。ゆでている間に、卵の中のガスが穴から抜け、殻を剥きやすい状態になります。
卵を縦に持ったときに尖っているほうではなく、気室がある丸いほうの底に、画びょうや市販の穴あけ器などを使って穴をあけるか、スプーンの背などでやさしく叩いてヒビを入れましょう。
2.お湯を沸かす
卵がすべて浸かる量のお湯を沸かします。
3.卵をゆでる
沸騰したお湯に卵を入れます。卵を入れるときは、割れるのを防ぐために、おたまを使ってそっと鍋の中に入れましょう。
また、ボコボコと沸騰した状態のままでは卵同士がぶつかって割れてしまうおそれがあるので、泡が出ない程度の火力でゆでるのもポイントです。
ゆで始めのうちは、菜箸などでゆっくり卵を回しましょう。黄身の位置が偏りにくく、きれいに真ん中で固定されやすくなります。
4.氷水で冷ます
好みの固さの時間までゆでたら、余熱でそれ以上に火が入らないように、すぐに氷水にとって冷ましましょう。
5.殻を剥く
溜めた水の中で殻を剥きましょう。白身と薄皮の間に水が入ることでツルッと簡単に剥けます。
ゆで卵を作る際の豆知識
ゆで卵をきれいに作るにはちょっとしたコツが必要です。
ここでは、ゆで卵を作るときの豆知識を紹介します。
卵は冷えたまま?常温に戻す?
ゆで卵を作るときは、冷蔵庫から出してすぐの冷たい卵か常温に戻した卵か、どちらを使えば良いのか迷うという方もいるのではないでしょうか。
卵の温度に関しては、それぞれにメリットがあります。
<冷えたままの卵を使う場合>
ゆで時間を測って仕上がりを理想の状態にするのなら、冷蔵庫から出してすぐの卵を使うのがおすすめです。常温は季節によって温度が異なるため、仕上がりのコントロールが難しくなるのが理由です。
<常温に戻した卵を使う場合>
1分でも早く仕上げたいのなら常温に戻した卵を使うと良いでしょう。また、急激な温度変化によって殻が割れるリスクを防げる点もメリットです。
卵を入れるのは沸騰させてから?水から?
卵を鍋に入れるのは、「沸騰させてから」なのか「水から」なのかも議論が分かれるところです。
どちらにもメリットがあるため、状況に応じて使い分けると良いでしょう。
<沸騰させたお湯に卵を入れる場合>
あらかじめお湯を沸騰させておけば、鍋に卵を入れた瞬間からゆで時間を測ることができるので、好みの仕上がりの固さをコントロールしやすい方法です。
<水に卵を入れて、沸騰させてゆでる場合>
急激な温度変化を防げるので、卵のひび割れを防げるメリットがあります。また、黄身の色がきれいに出やすいともいわれています。カットして使う場合は水から茹でるのも良いでしょう。
黄身が偏らないようにするためには?
黄身が中心にあるゆで卵に仕上げたい場合は、ゆで始めの2分間ほどは菜箸で卵を回しながらゆでましょう。
優しく転がすように回せば黄身が中心に移動しやすくなります。
また、鮮度が良い卵は黄身が移動しやすいといわれているため、この方法を試す際は、できるだけ鮮度の良いものを選びましょう。
白身を流出させないためには?
卵にヒビが入った状態でゆでると、ゆでている間に白身が流出することがあります。白身の流出を防ぐには、お湯に大さじ1の酢を入れてゆでるのがおすすめです。
酢には白身の主成分であるたんぱく質を固める働きがあります。大さじ1ほどであれば酢の風味は気にならない程度ですが、卵に味が付かないようにしたい場合は、少量に抑えるようにしましょう。
ゆで卵の賞味期限の目安は?
ゆで卵は、殻付き・固ゆでの状態なら、冷蔵庫で3日~4日程度もちます。半熟状態では長持ちしないため、数日保存したい場合は固ゆでのゆで卵を作っておくと良いでしょう。
また、殻を剥くと、手の雑菌が白身についてしまうおそれがあります。殻を剥いたものは必ず当日中に食べるようにしましょう。
まとめ
ゆで卵は、保存温度や水・沸騰したお湯に入れるかどうかによって、ゆで時間を調整する必要があります。好みのゆで加減をキープしたいときは、冷蔵庫から出してすぐの冷たい卵を沸騰したお湯に入れてゆでるのがおすすめです。仕上がりにばらつきが出にくく、理想の固さにしやすい方法です。
また、よりきれいに作るなら、殻を剥きやすくする工夫や黄身を中心にするコツなども押さえておきましょう。
ゆで卵は単純に見えて奥深い料理です。今回紹介した内容をもとに、理想のゆで卵づくりにトライしてみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。