さつまいもは秋の味覚の代表格で、料理にもスイーツにも使いやすい野菜です。中まで火を通すのに時間がかかるイメージがありますが、実は電子レンジで手軽に加熱することができます。コツを押さえて調理すれば、火を使わずに甘くおいしいさつまいもが楽しめるのでおすすめです。
今回は、さつまいもを電子レンジでしっとりと甘く調理する手順やポイント、さつまいもを使ったレシピを紹介します。
さつまいものレンジ加熱の手順

まずは、さつまいも1本(約300g)を電子レンジで加熱するときの手順を解説します。
1.さつまいもを洗って両端をカットする
さつまいもは皮つきのままよく洗い、両端の部分を切り落とします。大きく落とす必要はないので、先端の硬い部分だけをカットする程度で大丈夫です。
2.濡れたキッチンペーパーとラップで包む
下処理したさつまいもは、キッチンペーパーを2枚ほど使ってすき間なく包みます。包んだペーパーの上からさらに水をかけ、さつまいも全体をしっかり濡らしましょう。このとき、ペーパーの水分は手で押さえると軽く滴る程度に残し、絞りすぎないようにします。
最後にラップできっちりくるみ、加熱中に水分が逃げないようにしたら準備完了です。
3.600Wで2分加熱する
濡らしてラップで包んださつまいもを耐熱皿にのせ、600Wで2分加熱します。3分以上加熱すると温度が上がりすぎてしまうこともあるので注意してください。
4.低温(200Wほど)で8~10分程度加熱する
一度600Wで加熱した後は、低温に切り替えて再度加熱します。モードを200Wに切り替え、8~10分程度が目安です。
さつまいもの一番太い部分に竹串を刺し、すっと入れば完成です。まだ硬いときは1~2分ずつ再加熱したり、さつまいもを裏返したりして様子を見てください。
さつまいもをおいしくレンジ加熱するポイント

さつまいもを電子レンジでおいしく仕上げるには、ちょっとしたコツが必要です。ここでは、さつまいもをレンジ加熱するときのポイントを解説します。
さつまいもはしっかり濡らす
加熱する前に、さつまいもはしっかりと水で濡らしておきましょう。
さつまいもは、もともとの水分量が少ない野菜です。十分に濡らさないままレンジ加熱すると、ただでさえ少ない水分が飛んでしまってパサついたり、場合によっては発火したりすることがあります。うまく加熱できず、炭のように硬くなってしまうので、おいしく仕上げることができないのです。
しっとりとした食感にするためにも、さつまいもをよく濡らし、さらに濡らしたキッチンペーパーで包んだ上で、ラップをして水分が逃げないようにするのがポイントです。
【注意!】
さつまいもは水分量が少ないため、電子レンジで長時間加熱しすぎると発火や発煙の危険があります。加熱中はその場から離れず、こまめに様子を見ましょう。万が一焦げ臭いニオイがしたり、さつまいもやレンジから煙が出ているように見えたら、すぐに加熱を中止してください。
高温と低温の2段階で加熱する
さつまいもを加熱するときは、高温(600W)と低温(200W)の2段階でじっくり加熱するのがコツです。
さつまいもには、甘み成分をつくる働きがあるβ-アミラーゼという酵素が含まれています。加熱することで、さつまいものでんぷんにβ-アミラーゼが作用して、さつまいもの甘みが増すのです。
この酵素は約65~75℃で最も活性化されるため、さつまいもをおいしく仕上げるにはこの温度帯をいかに長くキープして加熱できるかがポイントとされています。
まずは600Wの高温モードで短時間加熱し、さつまいもの温度を70℃近くまで一気に上げます。温度を上げたら200Wの低温モードに切り替えて、さつまいもの熱をキープしつつ時間をかけて中心まで火を通すことで、手軽なレンジ調理でもしっかりと甘みを引き出すことができます。
高温モードのまま長時間加熱すると、さつまいもの温度が上がりすぎて酵素の働きが弱まってしまい、甘みが十分に引き出せません。そのため、高温と低温の2段階に分けて加熱することが必要です。
お使いの電子レンジに200Wの低温モードがない場合は、解凍モードが使えることもあります。ただし、メーカーによって解凍モードのワット数が違うので、事前に確認してから使うようにしましょう。
大きさによって加熱時間を変える
均一にムラなく加熱するには、さつまいもの大きさに応じて加熱時間を調整することも大切です。
レンジ調理する際のさつまいも1個あたりの目安は、300g程度とやや大きめで太さが均一のものがベスト。300g以上ある大きなさつまいもを使う場合は、大きさや形を見ながら均一に切り分けると良いでしょう。
逆に小さいさつまいもを使う場合は、次の加熱時間を参考にして短めに調整してみてください。
小さいさつまいもの加熱時間
- 200g程度なら600W1分~1分30秒、200W 7~8分
- 100g程度なら600W 40秒~1分、200W 6分
レンジ加熱したさつまいもを使った絶品レシピ3選

しっとり甘く加熱したさつまいもは、少しアレンジを加えればさらにおいしく楽しめます。ここでは、電子レンジ加熱したさつまいもを活用したレシピを紹介します。
さつまいもの加熱については、ここまでで紹介した手順を参考に行い、粗熱を取ってからレシピに合わせてカットしてください。
さつまいもとオレンジ、クランベリーのサラダ

さつまいもの甘みとフルーツの酸味がマッチした、彩り豊かなサラダです。オレンジの代わりにいちじくや柿を使ったり、クランベリーの代わりにレーズンを使ったりしてもおいしく作れます。
材料(2人分)
- さつまいも…150g
- オレンジ…1/2個
- ドライクランベリー…20g
- リーフ野菜…適量
- パットフッテ フライドオニオン&ナッツ(お好みで)…適量
- ピエトロドレッシング プレミアムフレンチ…大さじ2
作り方
- さつまいもは両端をカットして、水で濡らしたキッチンペーパー(2枚)とラップで包み、600Wのレンジで1分30秒、さらに200Wのレンジで7~8分加熱する。粗熱を取って角切りにする。
- オレンジの皮をむき、食べやすい大きさにカットする。
- ボウルに1と2を入れ、さらにドライクランベリーとドレッシングを加えて和え、冷蔵庫で冷やす。
- 器にリーフ野菜と3を盛り付け、お好みでパットフッテをふりかける。
さつまいものきんぴら

ごまの香りが広がるきんぴらです。レンジ加熱したさつまいもに味つけするだけなので、もう一品ほしいというときに重宝します。
材料(2人分)
- さつまいも…300g
- ピエトロドレッシング 焙煎香りごま…大さじ3
作り方
- さつまいもは両端をカットして、水で濡らしたキッチンペーパー(2枚)とラップで包み、600Wのレンジで2分、さらに200Wのレンジで8~10分加熱する。粗熱を取って5mm程度の拍子切りにする。
- ドレッシングを回しかけて味つけする。
きのことさつまいものたらもサラダ

さつまいもにきのこと茹で卵を合わせてボリューム満点に仕上げたサラダです。ぶなしめじを加熱したときに出た水分は、きのこの旨みが詰まっているので一緒に和えましょう。
材料(2人分)
- ぶなしめじ…100g
- さつまいも…100g
- リーフ野菜(ベビーリーフ)…適量
- 茹で卵…1個
- おうちパスタ たらこマヨネーズ…大さじ2
作り方
- さつまいもは両端をカットして、水で濡らしたキッチンペーパー(2枚)とラップで包み、600Wのレンジで1分、さらに200Wのレンジで6分加熱する。粗熱を取って角切りにする。
- ぶなしめじはいしづきを取ってほぐし、耐熱容器に入れて500Wのレンジで1分30秒加熱して冷ましておく。
- ボウルに1と2を入れ、おうちパスタを加えて和える。
- 器に3を盛り付け、ベビーリーフと茹で卵を周りに添える。
まとめ
さつまいもはたっぷりの水分と一緒に電子レンジ加熱すれば、手軽に甘くおいしく調理できます。甘みを引き出す酵素の働きを活用するためには、高温と低温の2段階でじっくり加熱するのがコツです。
料理に使う場合は、粗熱を取ってやけどしないように注意しながら使ってください。加熱するときのポイントを押さえて、ほくほくと甘いさつまいもの豊かな風味を楽しみましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。




