電子レンジでチンするだけで食べられる冷凍ご飯は、多めに炊いてストックしておくと忙しい毎日も時短できて便利ですよね。しかし、いざ解凍するとパサパサしたり、反対にベチャッとしたりなど「味がイマイチ……」と感じている方もいるでしょう。
今回は、冷凍ご飯を炊きたてのようにふっくらおいしく食べるための解凍方法と、コツを紹介します。適切な解凍方法のほか、モチモチのおいしさをキープする冷凍方法についても触れているので、ぜひ上手に取り入れてみてください。
冷凍ご飯の解凍は電子レンジを使うのがおすすめ
冷凍ご飯を手軽に解凍するには、電子レンジが便利です。お持ちの電子レンジにごはん温め専用のボタンがあるなら活用しましょう。
専用ボタンがない場合の加熱時間の目安は、お茶碗一杯分(約150g)の冷凍ご飯に対して600Wで約3分です。ただし、電子レンジの機種により仕上がりに差が生じるため、様子をみて加熱時間を加減してみてください。
また、ご飯を冷凍保存したからといって、いつまでもおいしさを保てるわけではありません。冷凍ご飯は1週間を過ぎると徐々に味が落ちてくるので、早めに解凍して食べ切りましょう。長くても1か月ほどの冷凍保存が目安です。
電子レンジで冷凍ご飯を解凍するときのポイント
「お茶碗1杯分の冷凍ご飯で600W約3分」の加熱時間が基本ですが、電子レンジの使い方を誤ると残念な仕上がりになってしまいます。炊きたてのようなふっくらご飯を味わうための解凍の注意点や、ポイントを確認しておきましょう。
電子レンジの解凍機能を使用しない
電子レンジには「解凍」の専用ボタンがついている機種がありますが、解凍機能は冷凍した食材を生の状態に戻すのに適しています。ホカホカのご飯にはならないので、冷凍ご飯の解凍には不向きです。
冷凍ご飯の解凍には、解凍機能ではなく、通常の「加熱」機能を使用しましょう。
自然解凍は避ける
冷凍ご飯をおいしく食べるには、自然解凍は避けましょう。冷凍ご飯を自然解凍すると、お米の水分が抜けて表面はベチャッとした状態になり、反対になかはパサパサと乾燥してしまう場合があります。
ムラなくふっくらとした仕上がりにするには、電子レンジを使って一気に加熱するのがおすすめです。
できるだけ食べる直前に解凍する
解凍後のご飯は、時間が経つと水分が抜けて硬くなり、食感が悪くなってしまいます。また、一度解凍したご飯を再冷凍すると、さらに食感と味が落ちるため、「食べる分だけ、食べる直前に解凍」するのがおいしく食べるコツです。
2回に分けて加熱する
電子レンジで冷凍ご飯を一気に加熱すると、ラップが縮まってご飯がつぶれてしまうことがあります。余裕があるときは、冷凍ご飯を2回に分けて加熱すると、ふっくらと炊きたてのおいしさにさらに近付けられるためおすすめです。
冷凍庫特有のイヤな臭いが移らないように、2回目の解凍時に新しいラップに取り替えましょう。
【2回に分けて加熱する手順】
- ラップの包み終わりを上にして、お茶碗1杯分(約150g)あたり、600Wの電子レンジで30秒~1分加熱する。
- ご飯が箸でほぐれるようになったら、耐熱の茶碗に移す。
- ご飯を箸でほぐして余分な水分を飛ばし、新しいラップをふんわりとかける。
- 再度、600Wで約2分加熱する。
電子レンジの機種によって仕上がりに差が生じるので、様子をみて加熱時間を加減してみてください。また、加熱時間は500Wの場合は1.2倍、700Wなら0.9倍を目安に調整すると良いでしょう。
冷凍ご飯をおいしく食べるには冷凍方法も大切
冷凍ご飯をおいしく食べるには、解凍方法だけでなく、冷凍する際の工夫も大切です。ご飯の柔らかさやモチモチ感は、でんぷんの「糊化」によって生まれます。でんぷんの糊化とは、でんぷんが水と結びついてふっくらした状態のことです。
しかし、ご飯が冷めると水分が抜け、でんぷんが「老化」し、硬くパサパサになってしまいます。でんぷんの老化は、0~5℃で特に進みやすく、反対に60℃以上や、-20℃以下では抑えられる性質があります。
つまり、モチモチふっくらしたご飯のおいしさを保つには、でんぷんの老化を防ぐ工夫が重要になります。
ここでは、でんぷんの老化を防ぎながらおいしく冷凍保存するコツを4つ紹介します。
1食分ずつ小分けにして冷凍する
冷凍ご飯を1食分ずつ小分けにするメリットは、食べたい分だけすぐに使える点や、解凍時間が短い点だけではありません。実は、おいしく食べるための重要なポイントでもあるのです。
大量のご飯をまとめて冷凍すると、解凍する際に加熱ムラができてしまいます。必要以上に加熱に時間がかかってしまうため、水分が飛んで食感が悪くなるのです。小分けにして冷凍することで、手早く、適度な水分を保ちながら解凍できます。
平らに広げて冷凍する
冷凍ご飯をラップで包む際は、ご飯をつぶさないようにしながら平らに広げましょう。平らにすることで、電子レンジで解凍するときに全体に均一に火が通り、ふんわりした食感をキープできます。
また、乾燥や冷凍庫の臭い移りを防ぐには、ラップに包んだご飯をさらに冷凍用保存袋に入れて保存するのが有効です。
炊きたてのご飯を冷凍する
炊きたてご飯のおいしさを保つには、湯気が立ちのぼる温かい状態のまま、すぐにラップや保存容器に入れて「冷凍」するのがポイントです。冷蔵庫に入れてしまうと、老化が進みやすい0~5℃に近い温度での保存時間が長くなり、ふっくらした食感が失われてしまいます。
そのため、余ったご飯は冷蔵ではなく、冷凍保存を心がけましょう。炊きたてのご飯をラップで包んだら、粗熱が取れたタイミングですぐに冷凍し、-20℃に近い温度で保存すれば風味も食感も損ないにくいです。
万が一、冷めたご飯を冷凍してしまった場合は、解凍する前に小さじ1程度の水を振りかけてから、再びラップをして電子レンジで加熱解凍するとパサつきを軽減できます。
急速冷凍する
ご飯を冷凍する際は、「急速冷凍」を心がけましょう。炊きたてのご飯は、ふっくらモチモチで柔らかく、でんぷんが糊化しています。
このベストな状態を保つには、でんぷんが老化しやすい0~5℃の温度帯を通過する時間を短縮するのが肝心です。急速に-20℃に近い温度帯まで下げて、でんぷんが硬くなるのを防ぎます。
冷蔵庫に急速冷凍機能がある場合は、積極的に活用しましょう。急速冷凍機能がない場合は、熱伝導率の高い金属製のトレイやバットにのせて冷凍するのも有効です。急速冷凍によってご飯内部の水分を短時間で凍らせてパサつきや風味の劣化を防ぎ、解凍後もふっくらとした食感を味わえます。
まとめ
冷凍ご飯をおいしく食べるには、さまざまな工夫が必要です。電子レンジの解凍機能を使ったり、自然解凍をしたりするとご飯の味わいが落ちてしまいます。解凍時には必ず電子レンジの加熱機能を使い、できるだけ食べる直前に解凍するようにしましょう。
また、適切に冷凍することで冷凍ご飯でも炊きたてのようにおいしくいただけるため、ぜひ日々の調理で取り入れてみてください。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。