春の味覚として親しまれるふきをおいしく安全に食べるためには、調理前の下処理がとても重要です。ふき特有のえぐみや苦みを取り除くだけでなく、植物が持つ天然毒素を減らすことで、ご家族が安心して食べられる状態に整えられます。
今回は、ふきの下処理が必要な理由から具体的な手順まで、わかりやすく解説します。
ふきの下処理が必要な理由

ふきは、古くから日本の食卓で親しまれてきた山菜ですが、調理前の「下処理」がご家族の健康を守り、ふき料理を格段においしくします。
まずは、ふきの下処理が必要な理由について詳しく解説します。
安心して食べるため
ふきやふきのとうには、「ピロリジジンアルカロイド類」という天然の毒素が比較的多く含まれていることがわかっています。この成分は水に溶けやすい性質があるため、調理前の「アク抜き」工程が大切です。
農林水産省はふきについて、「しっかりとアク抜きをすれば、大量に食べたり、長期的に食べ続けたりしない限り、健康への悪影響の懸念はない」としています。
近年は調理時間の短縮のため下処理を省略する情報もありますが、安心して料理するためにも、この工程を省かないようにしましょう。
出典:農林水産省「食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報」
ふき本来の風味を引き出すため
ふきは下処理をしないまま調理すると、強いえぐみや苦みが残りやすく、せっかくの風味が損なわれてしまいます。下処理として行うアク抜きは、これらの雑味を和らげ、すっきりとした味わいへと近づけるためにとても大切です。
ふきの下処理の基本的な手順

ふきは適切な下処理をすることで、おいしさを引き出し、安全に食べることができます。ここからは、初めてでも迷わず進められるように、手順を追ってわかりやすく解説します。
ステップ1|ふきの根元と葉をカットする
まずはふきの形を整える作業から始めます。根元の茶色い先端部分は特に硬いため、ここをしっかり切り落とすことで食感が良くなります。
根元を落としたら、葉と茎(葉柄)を切り分けます。茎は後で皮をむく作業があるため、長めにカットしておきましょう。家庭で一番大きな鍋やフライパンに入る長さにしておくことがおすすめです。
茎が長い場合は、根元と先端で太さが異なるため、2~3等分に切ると火の通りが均一になります。また、切り分けた葉の部分は捨てずに別途下処理すれば食材として活用できます。
ステップ2|塩で板ずりする
まな板の上に切ったふきの茎を並べて、塩をたっぷりとふりかけます。ふき10本に対して大さじ1強の塩が目安です。両手のひらでふきを上下に転がし、茎同士がこすれ合うように板ずりします。
この工程によって、ふきが色鮮やかに茹で上がり、後の皮むきもしやすくなります。また、アクも効率良く抜けるため、重要な作業です。
ステップ3|茹でる
板ずりが終わったら、大きめの鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩がついたままの板ずりしたふきを入れます。茹で時間は、細い部分で3分程度、太い根元部分は5分程度が目安です。
このときのポイントは茹ですぎないことです。透明感のある綺麗な緑色になるまで茹でますが、茹ですぎると風味や食感が損なわれるため、様子を見ながら調整してください。
ステップ4|氷水か冷水で冷ます
茹であがったふきは、すぐに氷水または冷水に入れて冷やします。この工程には、ふきの緑色を鮮やかに保つ効果と、水にさらすことでさらに余分なアクを抜く効果があります。
10分程度水に浸し、途中で水がぬるくなったら取り替えると良いでしょう。冷めたら水から取り出します。
急冷することでシャキッとした食感もキープでき、料理に使った際の仕上がりがより良くなります。
ステップ5|ふきの皮をむく
冷ましたふきの両端を軽く切り落とし、皮をむきます。指で引っ張るとするりと皮がむけることが多いですが、むきにくい場合は包丁で少し切れ目を入れるとスムーズになります。
ふきの切り口から薄皮をつまんで手前に引き、少し剥いた部分をつかみながら下に引くときれいにむけます。両端から皮をむくと取り残しなく仕上がります。
皮をむいた茎は、そのまま煮物や和え物など、さまざまな料理に活用できます。下処理の段階でしっかり手をかけることで、仕上がりがぐんと良くなります。
番外編|葉の下処理
ふきの葉は苦みが強いですが、適切に下処理すれば食べられる部分です。切り分けた葉をよく洗い、塩をひとつまみ入れた熱湯で1分ほど茹でます。
すぐに氷水か冷水に入れて冷やし、水気を絞ります。さらに苦みを抜きたい場合は、半日ほど水に浸けておくとより効果的です。
下処理した葉はみじん切りにして炒め物や佃煮にすると風味豊かな一品になります。
下処理後のふきの保存方法

下処理を終えたふきを、できるだけ長くおいしく楽しむための保存方法について解説します。冷蔵と冷凍、それぞれの特徴を押さえることで、料理の幅もぐっと広がります。
冷蔵保存の方法(保存期間:約1週間)
冷蔵保存は、ふき特有のシャキシャキとした食感を損なわず、鮮度の良い状態をキープできる方法です。下処理したふきを短期間で使い切る予定がある場合に向いています。おひたしや和え物など食感を楽しむ料理におすすめです。
<ふきの冷蔵保存の手順>
- 茹でて皮をむいたふきを使いやすい長さ(5cm程度)にカットする
- 清潔な保存容器にふきを入れ、浸るまで水を注ぐ
- ふたをして冷蔵庫で保存する
水に浸すことでふきの鮮やかな緑色を保ち、乾燥を防ぎます。冷蔵庫で約1週間保存可能です。
ポイントは水を毎日取り替えることです。これにより、ふきの色が美しく保たれ、鮮度も長持ちします。調理する際は保存容器から取り出し、保存用の水はよく洗い流してから使用してください。
冷凍保存の方法(保存期間:約1か月)
長期保存したい場合は、冷凍保存が適しています。冷凍することでふきを約1か月保存できます。冷凍することでストックとしていつでも使えて、忙しい日にもすぐ調理ができるメリットがあります。
<ふきの冷凍保存の手順>
- ふきを少し硬めに茹で(細いふきで1分程度、太いふきで3分程度)、氷水にとって冷ましたら皮をむく
- キッチンペーパーなどで表面の水気をしっかりと拭き取り、食べやすい大きさにカットする
- 使いやすい量に小分けにしてラップでしっかり包み、冷凍用保存袋に入れて空気を抜きながら密閉する
- 金属製のバットなどに平らに並べて急速冷凍する
冷凍したふきは解凍せずに、凍ったまま調理に使用できます。冷凍により少し繊維感を感じやすくなるため、煮物や炒め物など味をしっかり染み込ませる料理がおすすめです。
まとめ
ふきは下処理を丁寧に行うことで、安全性が高まり、本来の爽やかな風味や食感が際立ちます。基本のアク抜きや皮むき、さらに葉の扱い方や保存方法を知っておくと、幅広い料理に活用でき、旬の味を無駄なく楽しめます。下処理を習慣にすることで、料理のバリエーションが広がり、日々の食卓にも季節の恵みを手軽に取り入れられるようになるでしょう。
今回紹介した下処理のポイントを実践して、ふきの魅力をさらに引き出してみてはいかがでしょうか。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴35年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。




