たけのこは、春の訪れを感じさせる香りと味わいで、さまざまなレシピに使えるのもうれしい食材です。手に入ったら長期保存して料理に使いたいと考える方もいるでしょう。
鮮度が命ともいわれているたけのこは、どのようにして保存すると良いのでしょうか。今回はたけのこの冷蔵・冷凍それぞれの保存方法と、風味をなるべく損なわないためのポイントを紹介します。
たけのこの保存前に必要な「アク抜き」の方法
たけのこを保存する前は、冷凍・冷凍に限らず必ず事前のアク抜きが必要です。
まずは、たけのこ全体が入る、深さのある鍋を用意してください。次の手順に沿って、アク抜きをします。
- たけのこの根元と穂先の硬い部分を切り落とす
- 穂先側に身の長さの1/3ほどの切れ目を縦に入れる
- たけのこを鍋に入れ、たけのこが少しはみ出るくらいの水を入れる
- 米ぬかと赤唐辛子を入れて火にかける
- 沸騰したら落し蓋(皿でも可)をして弱火で1~2時間程度ゆでる
- 火を止めてそのまま半日程度置く
- 7.水で米ぬかを洗い流し、皮をむく
最初に茹でるときの火は中火~強火で様子を見ましょう。最後に、水で米ぬかを洗い流したら、根元の硬い皮や赤黒い粒は包丁でこそぎ落とします。
【ポイント】
- 穂先の硬い部分を取り除くときは、全体の1/5程度を目安にしましょう。さらに、穂先に切れ目を入れると火が通りやすく、皮もむきやすくなります。
- たくさんのたけのこを一度に茹でるときは、たけのこ同士が重ならないように注意が必要です。
なお、たけのこは収穫直後から全体にアクが増していくため、可能であれば収穫したその日のうちにアク抜きをするのが理想です。時間が経ってしまうとアクを完全に抜くことができず、苦みやえぐみが残ってしまいます。
すぐにアク抜きできない場合は、アク抜きするまでの間、冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。その際は、皮付きのまま新聞紙に包み、ポリ袋に入れて保存します。
なお、この状態でも2日ほどしかもちません。2日以内に必ずアク抜きを済ませて正しく保存しましょう。
たけのこのアク抜き方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
「【たけのこ】アク抜きの基本と米ぬかを使わない方法を紹介」
たけのこの冷蔵保存
アク抜きしたたけのこは冷蔵保存できます。
ここでは、冷蔵庫でたけのこを保存するときの2つの方法を紹介します。
水に浸けて冷蔵保存【目安:3~4日】
冷蔵保存の場合は、水に浸けたまま保存します。具体的な手順は次の通りです。
- アク抜きしたたけのこをカットする
- 保存容器にたけのこを入れる
- たけのこが完全に浸かる量の水を入れて蓋をする
- 冷蔵庫に入れる
なお、水を毎日取り替えれば目安の保存期間よりも長く(1週間程度)保存できますが、時間が経つごとに風味が落ちてしまうので、3~4日を目処に食べ切ることをおすすめします。
【ポイント】
- たけのこを縦半分にカットしておくと使い勝手が良く、幅広い料理に活用できます。
- 保存容器は、ジップ付きの保存袋を使うのも良いでしょう。
塩漬けで冷蔵保存【目安:1か月】
塩漬けしても冷蔵保存が可能です。塩はたけのこ250gに対して100g使用します。
具体的な手順は次の通りです。
- アク抜きしたたけのこの水気をキッチンペーパーなどで拭き取る
- たけのこを薄切りにする
- ポリ袋の底を平らにならして、薄く塩を敷く
- 薄切りにしたたけのこをポリ袋に入れて底に並べ、上からまんべんなく塩をまぶす
- 4をくり返してたけのこと塩の層をつくり、75gの塩(全量の3/4)を使い切る
- ポリ袋を振り、たけのこと塩をよくなじませる
- ポリ袋の空気を抜いて口を閉じる
- 冷暗所で1日置く
- 1日置いて出てきた水分を抜く
- 残りの塩25gを入れて、再度たけのことなじませる
- ポリ袋の空気を抜いて冷蔵庫で保存
たけのこの塩漬けはおよそ1か月保存できます。塩抜きに手間はかかりますが、たけのこを長く楽しみたい方にはおすすめです。
【ポイント】
- 塩は、たけのこ全体にまんべんなく付けるイメージでなじませます。ポリ袋を振ったり揉み込んだりして、塩が行きわたっていない部分がないようにしましょう。
また、塩漬けしたたけのこはそのまま調理に使うと非常に塩辛く、料理全体の味わいに影響してしまいます。そのため、使う前には塩抜きをしなければなりません。
塩抜きの手順は次の通りです。
- たけのこを水で洗い、塩をきれいに落とす
- ボウルにたけのこがかぶる程度の水を入れ、たけのこを浸す
- 水を2~3回換えながら9~12時間置く
【ポイント】
- 塩抜きの途中は、こまめに味見をしながら塩の抜き加減を確認しましょう。
- 塩抜きには時間がかかるため、調理に使う前日の夜から準備をしておくのがおすすめです。
たけのこの冷凍保存
たけのこは水分が多い食材であるため、そのまま冷凍保存すると解凍によって水分が抜け、繊維質が多く残ってしまいます。筋っぽくなり歯ごたえも悪くなってしまうため、いくつかの工夫が必要です。
ここでは、たけのこの冷凍保存の方法を2つ紹介しましょう。
砂糖を使った冷凍保存【目安:1か月程度】
砂糖は保水性が高いため、冷凍するときに使うと、たけのこの水分が抜けずに残ります。砂糖を使った冷凍保存の手順は次の通りです。
- アク抜きをしたたけのこを5mm幅程度の薄切りにする
- たけのこ200gに対して大さじ1杯程度の砂糖を入れ、たけのこ全体にまんべんなくまぶす
- 冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫に入れる
料理に使うときは、凍ったまま煮物などに使うと良いでしょう。砂糖をまぶしても解凍後の甘みは気にならない程度ですが、煮物に入れると甘みが残っていても安心です。
【ポイント】
- 縦に入っているたけのこの繊維を断つように、半月切りやいちょう切りなど横にカットすると食感が気になりにくくなります。
- なるべく急速で冷凍したほうが風味や食感を損ねないので、金属製のバットに置いたり、上に保冷剤を載せたりしてから冷凍庫に入れるのがベストです。
だし汁を使った冷凍保存【目安:1か月程度】
だし汁を使って冷凍保存する方法もおすすめです。だし汁に浸けて保存すれば、水分を保つことができるだけでなく、風味がたけのこに染み込むのでおすすめです。
だし汁に浸けて冷凍する方法を紹介します。
- アク抜きしたたけのこを5mm幅程度の薄切りにする
- お好みのだし汁を用意する
- 冷凍用の保存袋にたけのこを入れる
- 3にたけのこ全体が浸る量のだし汁を入れる
- 袋の口をしっかり閉じて冷凍する
調理に使うときは、全体を解凍してからたけのこだけを取り出しましょう。
スープなど料理によっては、凍ったままだし汁ごと使うのもおすすめです。
【ポイント】
- だし汁は、コンソメやみりんとしょうゆ、白だし、顆粒だしなどお好きなものを用意しましょう。
- 冷凍するときは、袋の口を閉じたあとに平らにして冷凍すると、冷凍庫でも場所を取りません。
まとめ
たけのこは、アク抜きをしておけば冷蔵保存や冷凍保存が可能です。どの程度保存しておきたいのかを決めて、適した方法で保存しましょう。
冷蔵や冷凍をすると、すぐに食べる場合と比べて風味や食感が変わる可能性もあるので注意が必要です。
今回紹介したポイントをおさえながら正しく保存して、旬のたけのこを長くおいしく楽しみましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。