里芋は下処理時のぬめりや皮むきの手間がある野菜ですが、冷凍保存することでぐっと扱いやすくなります。
今回は、里芋の冷凍・解凍の正しい方法から、味を損なわず冷凍するコツ、冷凍里芋を使った簡単レシピまで、料理初心者でもすぐ実践できる内容を紹介します。
里芋を長くおいしく保存するなら冷凍がおすすめ!
里芋は熱帯地方原産で寒さに弱く、冷蔵庫保存では低温障害を起こしやすい食材です。そのため、新聞紙などに包み、直射日光の当たらない冷暗所で常温保存するのが基本となります。
乾燥を防げば2~3週間ほど日持ちしますが、季節や室温によっては傷んだりカビが生えたりする場合もあるため、無駄なく使うには冷凍保存が便利です。冷蔵庫の寒さには弱いものの、凍らせても味や食感が変わりにくいため、意外にも冷凍保存には向いている食材です。
【里芋を冷凍保存するメリット】
- 保存期間を約1か月まで延ばせる
- 皮がむきやすくなり、下ごしらえの手間が減る
- 味が染みやすくなり、料理がよりおいしく仕上がる
- 食感・風味の劣化を防ぎやすい
- 余った里芋を無駄なく使い切れる
- 調理の際に、下処理不要なので時短になる
里芋を冷凍保存する手順
里芋の冷凍保存方法は、主に「生のまま」「加熱後」「調理後」の3パターンがあります。それぞれの保存手順と保存期間の目安を確認しましょう。
皮付き・生で冷凍|保存期間:約1か月
まだ加熱も皮むきもしていない里芋は、皮付きのまま生で冷凍するのがおすすめです。
冷凍時の下処理の手間がなく、簡単に保存できます。保存期間の目安は約1か月です。風味が落ちないうちに食べ切りましょう。
手順
- 里芋をよく洗い、泥をしっかり落とす。
- キッチンペーパーで表面の水気をふき取る。
- 里芋1個ずつをラップで包む。
- ラップで包んだ里芋を冷凍保存用袋に入れ、冷凍庫で保存する。
皮なし・加熱して冷凍|保存期間:約3週間
解凍後すぐに調理したい方は、加熱と皮むきを済ませてから冷凍する方法がおすすめです。
すでに皮をむいて加熱した里芋を使っても問題ありません。保存期間の目安は、約3週間です。
手順
- 里芋をしっかり洗い、表面の汚れを落とす。
- 包丁で里芋の中心にぐるりと一周、切り込みを入れる。
- 鍋に1~2cmの高さの水とふたつまみの塩を入れ、里芋を入れて火にかける。
- 沸騰したら中火にし、竹串がスッと通るまで蓋をして10~15分茹でる。
- 茹でた里芋を熱いうちにキッチンペーパーなどに包んで持ち、指で外側にすべらせるようにして切り込み部分から皮をむく。
- 里芋を食べやすい大きさに切り、水気をキッチンペーパーでふき取る。
- 粗熱が取れたら冷凍保存用袋に入れ、冷凍庫で保存する。
下処理の詳しい方法は、こちらのコラムも参考にしてみてください。
「里芋の簡単な下処理!皮むきや加熱の方法を解説」
調理して冷凍|保存期間:約2週間
里芋を煮物などで調理した後でも冷凍保存が可能です。ただし、調理済みの里芋は傷みやすいため、保存期間の目安は約2週間と短くなります。
手順
- 調理後の里芋の熱をしっかり冷ます。
- 小分けにして保存容器や冷凍保存用袋に入れ、冷凍庫で保存する。
小分けにしておくと解凍や盛り付けがスムーズになります。解凍時は十分に加熱してから食べましょう。
里芋の冷凍で味を損ねないためのポイント
里芋を冷凍する際、ほんの少しの工夫をするだけで、解凍後も味や食感をしっかりキープできます。冷凍里芋をおいしくいただくために冷凍保存のコツを覚えておきましょう。
水気をしっかり拭き取る
里芋を茹でて冷凍する場合は、水気をしっかり切り、キッチンペーパーで表面の水分をふき取ってから保存しましょう。
水分が残ると、霜がつきやすく、解凍時に味や食感が落ちる原因になったり、里芋同士がくっつきやすくなったりするため、使うときに不便です。
表面の水分を拭き取ることで、おいしさと使いやすさがアップします。
金属トレイにのせて冷凍する
野菜を冷凍する際に鮮度やおいしさを保つには、冷凍時間を短くすることが重要です。
金属トレイは熱伝導率が高く、冷気を素早く伝えるため、里芋を効率良く冷凍できます。
冷凍用保存袋に入れた里芋を金属トレイの上にのせて冷凍し、凍ったらトレイを外して保存しましょう。
空気を抜く
里芋を冷凍用保存袋に入れるときは、袋の中の空気をしっかり抜いてから冷凍庫に入れましょう。
空気が残ると雑菌が繁殖しやすく、食材の傷みや風味の劣化につながります。保存袋には保存日を記入して管理すると安心です。
冷凍里芋を解凍する方法
冷凍した里芋は、電子レンジで手軽に解凍できます。なお、皮をむいた冷凍里芋は、凍ったまま煮物や炒め物といった加熱調理を行っても問題ありません。
手順
- 耐熱容器に冷凍里芋を並べる。
- ラップをふんわりとかける。
- 以下の目安時間を参考に加熱し、様子を見ながら必要に応じて追加加熱する。
- 解凍後はキッチンペーパーで水気を軽く拭き取る。
加熱時間の目安
- 皮をむいた里芋:600Wで約1~2分
- 皮付きの里芋:600Wで約2~3分
- 調理・加熱済みの里芋:600Wで約3~4分
皮付きのまま冷凍した里芋は、加熱後温かいうちに皮をむくと、簡単に皮を取り除くことができます。
冷凍里芋を使ったおすすめレシピ
里芋を冷凍ストックしておけば、面倒な下処理不要で手軽に調理できます。ここでは、冷凍里芋を使ったアイデアレシピを2品紹介します。
ピエトロイタリアンおでん
トマト風味のスープで煮込む、彩り豊かな洋風おでんです。冷凍里芋をチーズと油揚げで包んだ巾着をはじめ、色とりどりの具材に旨みたっぷりのだしが染み渡ります。
見た目にも楽しく、具材を串に刺せばパーティーメニューにもおすすめです。
材料(2人分)
- 鶏むね肉…60g
- ベーコン…4枚
- かぼちゃ…50g
- さつまいも…50g
- 冷凍里芋(皮むき・加熱済み・1cm角切り)…20g
- キャベツ…4枚
- ミニトマト…4個
- マッシュルーム…2個
- うずらの卵(茹でたもの)…2個
- 油揚げ…2枚
- ミックスチーズ…20g
- 水…300cc
- おうちパスタ トマトガーリック…大さじ6
作り方
- かぼちゃ、さつまいもは食べやすい大きさに切る。
- ベーコンは半分に切ってミニトマトに巻く。キャベツもベーコンで巻いて串に刺す。
- 冷凍里芋とミックスチーズと一緒に油揚げにつめて、楊枝でとめる。
- 鶏むね肉、マッシュルームは食べやすい大きさに切り、うずらの卵と一緒に串に刺す。水300ccとおうちパスタを加えた鍋に入れ、1を加える。火が通ったら2、3を入れ、さらに約2分煮込む。
根菜たっぷりホットサラダ
れんこんやごぼうなどの根菜と冷凍里芋を組み合わせた、食べ応えのある温サラダです。
ピエトロドレッシングのコクと香ばしさが、炒めた豚肉や野菜の甘みとよく合います。
材料(2人分)
- れんこん…1/2個
- ごぼう…1/4本
- 冷凍里芋(皮むき・加熱済み・5mm幅に輪切り)…3個分
- 豚ロース肉…80g
- 小ねぎ…1本
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ3
作り方
- れんこん、ごぼうは薄切りにする。
- フライパンで豚ロースを炒める。
- 1と冷凍里芋を加え、さらに炒める。
- ドレッシングを加えて味付けし、皿に盛って刻んだ小ねぎを散らす。
まとめ
冷凍保存を活用すれば、里芋はもっと気軽に楽しめる食材になります。保存期間が延びるだけでなく、下ごしらえの手間が省けて、忙しい日にも手早く調理が可能です。
今回紹介した方法やレシピをぜひ日常に取り入れて、里芋料理をもっと身近に、もっとおいしく楽しんでみてください。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。