体調を崩しやすい季節には、栄養豊富な「春菊」で健康的な食事を意識してみてはいかがでしょうか。春菊は、漢方薬の本場中国では“食べる風邪薬”とも呼ばれるほど栄養価が高く、昔から珍重されてきたお助け食材です。今回は、春菊に含まれる主な栄養とはたらき・効果的な摂取方法を紹介します。
春菊に含まれる主な栄養について
ここでは、春菊に含まれる代表的な栄養について紹介します。
β-カロテン
生の春菊100gあたりには、4,500μgものβ-カロテンが含まれています。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、目の健康維持や皮膚の保護に効果的です。抗酸化作用もあるため、アンチエイジングや生活習慣病の予防にも役立ちます。
なお、β-カロテンは水に溶けないので茹でても損失がなく、カサが減る分、量も多く食べられるので効率的に摂取できます。
ビタミンK
生の春菊100gあたりには、250μgのビタミンKが含まれています。ビタミンKは、カルシウムの吸収を促して骨の形成をサポートする重要な栄養素です。また、血液凝固を助けて出血を防ぐ役割も果たします。
骨粗しょう症が気になる方や骨を強化したい方は、積極的に摂取するのがおすすめです。
ビタミンC
生の春菊100gあたりには、ビタミンCが19mg含まれています。ビタミンCは、免疫力を高める重要なビタミンです。
また、コラーゲンの生成を促して丈夫な血管を維持したり、シミやシワを防いで若々しい肌を保ったりするのにも役立ちます。
さらに、抗酸化作用によりストレスの軽減や風邪予防にも効果的です。
ビタミンCは熱に弱く、水に溶けやすい性質があるので、炒めたり茹でたりするよりも生で食べたほうが無駄なく摂取できます。
ビタミンB群
春菊には、多様なビタミンB群が複数種含まれています。代表的なのは、ビタミンB1・B2・B6・葉酸などです。それぞれエネルギー代謝や疲労回復に重要な役割を果たし、単体で摂るよりも複数のビタミンB群をまとめて摂取したほうが効率的に働きます。
ビタミンB1
生の春菊100gあたりには、0.10mgのビタミンB1が含まれています。ビタミンB1は、糖質やアルコールの代謝をサポートし、肥満予防や疲労回復に効果的です。
ビタミンB2
生の春菊100gあたりには、0.16mgのビタミンB2が含まれています。ビタミンB2は、脂質の代謝を助け、ストレスによる肌荒れや口内炎を防ぎます。また、生活習慣病の予防にも効果的です。
ビタミンB6
生の春菊100gあたりには、0.13mgのビタミンB6が含まれています。ビタミンB6は、たんぱく質の分解や、アミノ酸の再合成を助けるはたらきがあり、皮膚の抵抗力や免疫力の維持に効果的です。
心の安定に関わる神経伝達物質の合成もサポートするため、倦怠感があるときや、心を落ち着かせたいときに積極的に摂ると良いでしょう。
葉酸
生の春菊100gあたりには、190μgの葉酸が含まれています。葉酸は、特に妊娠中の女性は積極的に摂るよう推奨されており、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するのに効果的です。
また、貧血の改善や動脈硬化の予防効果があり、心筋梗塞など虚血性心疾患の発症リスクを軽減します。
カルシウム
生の春菊100gあたりには、カルシウムが120mg含まれています。カルシウムは、骨や歯の健康を支えるミネラルです。
骨の形成だけでなく、血液の凝固や筋肉の収縮・正常な神経伝達に関与し、精神を落ち着かせるはたらきもあります。
しかし、カルシウムは体内で吸収されにくいため、吸収を助けるビタミンDと一緒に摂取するのがおすすめです。
カリウム
生の春菊100gあたりには、460mgのカリウムが含まれています。カリウムは、体内の浸透圧を調整し、余分なナトリウムを体外に排出するため、血圧上昇を抑えてむくみの改善に効果的です。
現代人は塩分の多い食事を摂ってしまいがちなので、カリウムを多く含む春菊を積極的に摂ると、余分な塩分の排出に役立ちます。
鉄
生の春菊100gあたりには、1.7mgの鉄分が含まれています。鉄は、血液中のヘモグロビンを作り出すのに不可欠な栄養素です。
特に、月経のある女性は必要量が増えます。厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による成人(18~69歳)の推奨量は、男性7.0~7.5mg/日、女性6.0~6.5mg/日ですが、月経がある女性は1日に10.5~11.0mgです。
鉄分が不足すると、鉄欠乏性貧血を招き、疲れやすさや動悸といった症状が現れます。不足しないように春菊をはじめとした鉄分が豊富な食材を積極的に摂りましょう。
出典:
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
春菊の栄養をしっかり摂る方法
春菊の栄養を無駄なく摂取するには、食べ方にも工夫が必要です。ここでは、生食と加熱して食べる場合に分けてポイントを紹介します。
生で食べる
熱に弱いビタミンCや、水に溶ける性質のあるビタミン類やカリウムを無駄なく摂取したい場合は、春菊を生で食べるのがおすすめです。
春菊は鍋やおひたしといった加熱した料理が定番ですが、実はアクが少ないので、生でもおいしく食べられます。
春菊特有の苦みや風味は加熱時よりも生のほうが感じにくいので、春菊が苦手な方は生で食べてみると良いでしょう。
簡単に作れるおすすめレシピを紹介します。
生春菊とオレンジのサラダ
食材を切って、ドレッシングをかけるだけの簡単サラダです。シャキシャキとした春菊の食感と甘酸っぱいオレンジの組み合わせは相性抜群で、見た目もオシャレに仕上がります。
材料(2人分)
- 春菊…30g
- オレンジ…1個
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ2
作り方
- 春菊は食べやすい大きさに切り、水気をきって冷蔵庫で冷やしておく。
- オレンジはむき身にして、中心部の筋は取り除き、食べやすい大きさに切る。
- 器に1、2を盛りつけ、仕上げとして春菊にドレッシングをかける。
ピエトロのレシピサイト「マジカルサラダ」特集レシピでは、生春菊とオレンジのサラダをはじめ、サラダづくりの「困った」をマジカルに解決するお役立ちレシピを紹介しているので、ぜひ覗いてみてください。
加熱して食べる
春菊に含まれるβ-カロテンは油に溶けやすい性質があるため、油で炒めると効率的に摂取できます。
一方で、ビタミンCやビタミンB群、カリウムといった水に溶けやすい性質を持つ栄養素は、煮たり茹でたりすると煮汁に流出してしまいます。そのため、スープにして煮汁も余すことなく飲むのがポイントです。
まとめ
春菊には、疲労回復やエネルギーの代謝、皮膚や骨の形成サポートなど、日々の健康維持にかかわる栄養素がたっぷりと含まれています。生や加熱、どちらで食べても効率良く栄養を摂取できるので、ぜひおいしく調理して味わいましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。