豚肉をやわらかくする方法は?下処理の手順や硬くなる原因も詳しく解説

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

「豚肉を調理したら硬くなってしまう……」

そんなお悩みはありませんか?豚肉はちょっとした下ごしらえや調理法の工夫で、驚くほどやわらかくジューシーに仕上がります。

今回は、豚肉をやわらかくする簡単なコツを分かりやすく解説します。

豚肉を焼くと硬くなる理由

豚肉料理の画像

豚肉を焼くと硬くなってしまう原因は、主に次のことが考えられます。

  • 筋線維が残っているから
  • たんぱく質が収縮するから
  • 水分を保てないから

それぞれ詳しく解説します。

理由1|筋線維が残っているから

豚肉をよく観察すると、細かい線維でできていることが分かります。この細かい線維が筋線維です。

筋線維は加熱しても残り、焼くとより強固になるため、お肉を硬いと感じてしまうのです。

特に、筋肉が発達している肩やももの厚切り肉では、筋線維が残りやすく、硬さを感じやすいでしょう。

理由2|たんぱく質が収縮するから

豚肉の主な成分はたんぱく質です。たんぱく質は熱で変性し、収縮するという性質があるため、調理過程で豚肉が硬くなってしまいます。

しかし、長時間かけて煮込むとたんぱく質の結合組織が弱くなり、筋線維がほぐれるためお肉をやわらかく調理できます。

理由3|水分を保てないから

豚肉は、水分(肉汁)が内部に多く残っているとやわらかくジューシーな食感になりますが、豚肉は水分を保持する力があまり強くありません。

そのため、たんぱく質に含まれていた水分が加熱による収縮によって流れ出て、硬くなってしまうのです。

豚肉をやわらかくする下処理の方法・ポイント

豚肉を下処理している画像

豚肉は加熱する前にひと手間加えることでやわらかい食感に仕上げられます。

ここからは豚肉をやわらかくする下処理の方法・ポイントについて解説します。

ブライン液(塩+砂糖)を活用する

ブライン液を活用することで、豚肉をやわらかくすることができます。ブライン液とは、水に塩と砂糖を混ぜた溶液のことです。

塩がお肉のたんぱく質を分解することにより、水分が中に入り込みやすくなり、さらに水分を保持する作用のある砂糖を加えることでお肉がやわらかくなります。

ブライン液は家庭にある調味料で簡単に作れます。水の量に対して、塩と砂糖をそれぞれ5%ずつ加えてよく混ぜるだけです。

例えば100mLの水で作る場合、塩・砂糖はそれぞれ5gずつとなります。

豚の薄切り肉であれば30分程度、ポークソテー用など厚切り肉であれば1時間程度、ブロック肉であれば1~2日ほど冷蔵庫で漬け込むとお肉がやわらかくなります。

漬け込みすぎるとしょっぱくなってしまうので、必ず時間を守るようにしましょう。

筋切りする

とんかつやステーキの場合は、筋切りをするのがおすすめです。

筋切りをすることで、豚肉をやわらかく仕上げるだけでなく、加熱によりお肉が縮んでしまうのを防ぐこともできます。

筋は赤身と脂肪の間に入っています。筋を断ち切るイメージで、赤身と脂肪の間に3cm間隔で垂直に切り込みを入れましょう。厚みのあるお肉の場合は裏側にも切り込みを入れてください。

また、包丁の背などを使ってお肉全体を叩くのも効果的です。肉の筋線維がつぶれてやわらかい食感になります。

漬け込む

食材や調味料に含まれる酵素「プロテアーゼ」を利用してお肉をやわらかくする方法もあります。プロテアーゼには、たんぱく質を分解する作用があります。

お肉の主成分であるたんぱく質は加熱すると収縮して硬くなってしまうという性質がありますが、プロテアーゼを含む食材や調味料に漬け込むことで筋線維がほぐれてお肉がやわらかくなります。

プロテアーゼが含まれる食材や調味料は、例えば次のようなものです。

  • すりおろしたまねぎ
  • はちみつ
  • ヨーグルト
  • 味噌
  • 塩麹

またpH値をより酸性にしてやわらかくする方法もあります。お肉のpH値は5くらいでやや酸性寄りですが、さらにpH値を酸性側にすることで水分を保ちやすくなるといわれています。

pH値をより酸性にする食材や調味料には、次のようなものがあります。

  • 料理酒
  • 炭酸水
  • コーラ
  • ビール

お肉を加熱する前に、プロテアーゼを含む食材や、pH値を酸性に傾ける調味料などに漬け込むことでお肉がやわらかくなります。

小麦粉・片栗粉をまぶす

小麦粉や片栗粉をまぶしてから調理すると、水分(肉汁)が流れ出るのを防ぎ、やわらかくジューシーに仕上げることができます。

小麦粉や片栗粉をまぶすと調味料を加えた際にとろみがつくため、生姜焼きなどたれを使う料理におすすめの方法です。

筋切りやたたく方法と合わせるとよりやわらかく仕上がります。

低温でじっくり加熱する

豚肉は、65℃を超えると収縮して硬くなり始めるため、低温でじっくり加熱するようにしましょう。高温で加熱しすぎると水分も失われてしまいます。

また、冷蔵庫に入っている豚肉は、加熱の5~30分ほど前に取り出し常温に戻すようにしましょう。

冷蔵庫から出したばかりの冷えた豚肉をいきなり加熱調理すると、たんぱく質が急激に収縮して硬くなってしまいます。

やわらかい豚肉がもっとおいしくなるレシピ

豚肉料理の画像

最後に豚肉をおいしく食べられるレシピを2つ紹介します。

ピエトロジンジャーポーク たっぷりキャベツ添え

パイナップルジンジャーポークの画像

豚肉をがっつり食べられる、ごはんに合うレシピです。味つけはドレッシングのみなので、手軽に作れます。

材料(2人分)

下準備

  1. しょうがはすりおろし、キャベツは千切り、たまねぎは薄切りにして水にさらしておく。

作り方

  1. ドレッシングとしょうがを混ぜ合わせ、豚肉に絡める。
  2. フライパンを熱し、1を香ばしい焼き色がつくまで焼く。
  3. 2とキャベツ、たまねぎを器に盛る。

ポークソテー

ポークソテーの画像

バルサミコのコクと香りを楽しめるポークソテーのレシピです。見た目もおしゃれなので、特別な日のメニューにもおすすめです。

材料(1人分)

作り方

  1. 豚肉は筋を切って、塩こしょうで軽く下味をつける。
  2. 豚肉に小麦粉をまぶして、熱したフライパンで焼き、火が通ったらドレッシングを絡める。
  3. 器に盛り、ベビーリーフとラディッシュを飾る。

まとめ

豚肉が硬くなってしまう原因には、筋線維が残っていることや加熱によりたんぱく質が収縮してしまうことなどがあります。

豚肉をやわらかく調理するためには、加熱前に筋切りをしたり、調味液に漬け込んだりするなどひと手間加える必要があります。

今回紹介した方法を参考にして、やわらかくておいしい豚肉料理を作ってみてくださいね。

監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)

1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

TOP すべての記事 豚肉をやわらかくする方法は?下処理の手順や硬くなる原因も詳しく解説

PICK UP

ピックアップ