大根は余りがちな野菜のひとつですが、正しく冷凍保存すれば最後までおいしく使い切れます。みずみずしい大根は冷凍には向かないと思われがちですが、工夫次第で水っぽさを抑えることができ、煮物やおろし、サラダまで幅広く活用可能です。
今回は、大根の冷凍・解凍方法や、おいしく冷凍保存するコツを紹介します。冷凍大根を使ったおすすめレシピもお伝えするので、ぜひ試してみてください。
大根の冷凍方法|保存期間:約1か月
大根を冷凍保存する際は、用途別にカットや味つけを工夫して保存しましょう。調理時の手間が省けるだけでなく、歯応えも引き立てられます。
まずは、主な3つの冷凍方法を紹介します。
使いやすい大きさにカットして冷凍
味噌汁や煮物用など、使う料理を想定してあらかじめカットしておくと、冷凍後もそのまま使えて時短になります。
味噌汁には短冊切りやいちょう切り、煮物やおでんには輪切りがおすすめです。冷凍により繊維が壊れるため、下茹でなしでも味が染みやすく、やわらかく仕上がります。
冷凍方法
- 大根の皮をむき、用途に合わせて切る。
- 水気をふき取り、小分けにしてラップに包む(輪切りはラップ不要)。
- 冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存する。
解凍方法
- 解凍せず、凍ったまま味噌汁や煮物といった加熱調理に使用する。
大根おろしにして冷凍
大根おろしをよく使う方は、一度にたくさんすりおろして冷凍しておくと、食べたいときに解凍するだけで、すぐに食べられます。
冷凍による味や食感の変化もほとんどなく、生の大根おろしと同様に使用可能です。
おろした大根は、手で水気を強く絞りすぎると食感が悪くなるので、ザルにおいて自然に水切りすることがポイントです。
冷凍方法
- 大根の皮をむいてすりおろし、ザルに入れて自然に水を切る(手で絞らない)。
- 1食分ずつ保存袋に入れて、平らにして冷凍する。
解凍方法
- 冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジの解凍モードで解凍する。
- ザルに入れて水を切ってから使用する(手で絞らない)。
下味をつけて冷凍
千切りやいちょう切りにした大根に、ドレッシングや甘酢を加えて冷凍する方法です。解凍するだけでサラダや漬物を用意できて便利です。
解凍後はコリコリとした歯ざわりになり、食感も楽しめます。
冷凍方法
- 皮をむいて、お好みの大きさに切った大根に、甘酢やドレッシングなどをお好みで加える。
- 袋の上からもんで、味をなじませてから平らにして冷凍する。
解凍方法
- 冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジの解凍モードで解凍する。
- 手で軽く水気を絞る。
- 味が薄い場合は、塩で調整する。
大根の葉の冷凍方法|保存期間:約1か月
大根の葉は栄養価が高く、炒め物やごはんの具、汁物の彩りなど、さまざまな料理に使える優秀な食材です。
しかし、傷みやすく放置しておくとしなびてしまうため、すぐに使わない場合は冷凍保存が役立ちます。
冷凍すれば約1か月間、おいしさをキープできます。大根の葉も無駄にせず、毎日の料理に彩りと栄養を手軽にプラスしましょう。
冷凍方法
- 大根の葉を根元からよく洗い、悪くなっている葉は取り除く。
- 鍋にお湯を沸かし、お湯1Lに対して塩を小さじ1加えて葉を2~3分程度茹でる。
- 茹でた葉をザルに取り、水分をしっかり絞って食べやすい大きさに切る。
- 冷凍用保存袋に入れ、冷凍する。
解凍方法(加熱調理に使う場合)
- 凍ったまま、加熱調理して使用する。
解凍方法(生のまま和え物などに使いたい場合)
- 冷蔵庫に移して自然解凍、または電子レンジの解凍モードで解凍する。
- 手で水気をしっかり絞って使用する。
冷凍大根の食感や味を保つための3つのポイント
冷凍大根は便利ですが、調理次第では水っぽくなったり、風味が落ちたりする場合もあります。
おいしく食べるには、冷凍・解凍時の工夫と調理時のひと手間が大切です。ここでは、食感と味わいをキープするための3つのポイントを紹介します。
ポイント1.冷凍前に加熱処理をする
大根をそのまま冷凍すると、解凍時に組織が壊れるため、水っぽさが気になってしまう場合があります。
水っぽくなるのを防ぐには、冷凍前に短時間の加熱処理をするのが効果的です。加熱により、細胞内の酵素の働きが抑えられ、冷凍後の食感の変化を最小限にとどめられます。
冷凍前の加熱処理の手順
- カットした大根を沸騰したお湯で1~2分茹でる。
- すぐに冷水にさらす。
ポイント2.室温での解凍を避ける
冷凍した大根を解凍する際は、室温に置いて解凍するよりも、冷蔵庫でゆっくり解凍したほうがベターです。
室温で解凍すると、急激な温度変化により細胞を壊しやすく、水分が多く出てベチャッとした食感になってしまいます。
大根のみずみずしさや歯応えを保つには、冷蔵庫でゆっくりと解凍することが大切です。
ポイント3.煮る前に軽く炒める
スープなどの煮物料理に使うときは、冷凍大根をそのまま煮るのではなく、あらかじめ軽く炒めるのがおすすめです。
表面に薄い皮膜ができることで煮崩れを防ぎ、味もしっかり染み込みやすくなります。
また、煮汁にしょうゆや味噌を加えると、冷凍特有の風味がやわらぎ、味わいに奥行きが生まれるため、よりおいしく仕上がります。
冷凍した大根を使ったおいしいレシピ
冷凍保存した大根は味が染みやすく、調理の時短にも便利です。
今回は、冷凍大根を活用した、食卓を豊かにするおいしいレシピを2品紹介します。
さわやか 豚ばら角煮大根
白ワインとマーマレードの香りがさわやかに広がる角煮風の一品です。冷凍大根の染み込みやすさを活かせば、短時間で本格的な味に仕上がります。
材料(2人分)
- 豚ばら肉ブロック…300g
- 冷凍大根(2cm厚さの輪切り)…1/4本分
- 厚揚げ…1丁
- にんにく…4片
- マーマレード…70g
- 白ワイン…70ml
- サラダ油…適量
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…210ml
作り方
- <下準備>
密封袋に2cmの厚さに切った豚ばら肉、ドレッシング(60ml)、マーマレード、皮をむいたにんにくを入れてしっかりもみ、冷蔵庫で2時間ほど置いて味をなじませておく。 - 鍋にうすくサラダ油をひき、凍ったままの冷凍大根を入れて軽く炒める。
- 冷やした豚ばら肉を漬け汁ごと入れ、残りのドレッシング、白ワインを加えて強火で煮立たせる。
- 煮立ったら弱火にし、ひと口大に切った厚揚げを入れて25分ほど煮込む。
- 煮汁が1/3ほどになり、とろみが出たらお皿に盛る。
なめこおろしのつけうどん
火を使わず手軽に作れる、暑い日や忙しい日にぴったりのひんやりうどんです。解凍した大根おろしのさっぱり感と、香ばしいごまドレッシングが絶妙にマッチします。
材料(2人分)
- うどん…2玉
- なめこ…1袋
- 冷凍大根おろし…1カップ分
- 青じそ…2枚
- ピエトロドレッシング 焙煎香りごま…大さじ5
- 水…大さじ5
作り方
- うどんは茹でて冷まし、お皿に盛る。
- 解凍して水気を切った冷凍大根おろしとなめこをまぜる。
- 1に2と刻んだ青じそをのせる。
- ドレッシングに水を加えてよく混ぜ、つけだれにする。
まとめ
大根は冷凍保存すれば、保存期間が延びるだけでなく、味の染み込みも良くなります。水っぽさを抑えるポイントは、加熱処理や適切な解凍方法、調理時のひと手間です。
冷凍大根を上手に使って、時短しながらおいしい料理を楽しみましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。