山芋・長芋・自然薯の違いを徹底比較!おすすめの食べ方も紹介

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

「山芋」と「長芋」、さらに「自然薯」は見た目が似ていて同じものとして呼ばれがちですが、実は種類が分かれており、風味も大きく異なります。

粘りの強さや食感、栄養価の違いを知ることで、料理の幅がぐっと広がります。今回は、山芋・長芋・自然薯の違いをわかりやすく比較し、それぞれに合ったおすすめの食べ方も紹介します。

山芋は「ヤマノイモ科」に属する芋の総称

山芋をすっている画像

実は、「山芋」という名前の品種はなく、山芋は世界に600種類以上存在するヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物の総称です。このうち日本では主に18種類が自生または栽培されています。

ヤマノイモ科は、つる性の草本または低木であり、地下に塊茎(イモ)を形成します。多くの種は食用や薬用として重宝されてきました。特に日本では古くから自然薯(じねんじょ)が山野に自生しており、滋養強壮効果があるとして食されてきました。

日本で栽培されているヤマノイモ科植物はすべてヤマノイモ属であり、そこから「長芋」を含むナガイモ種と、「自然薯」を含むヤマノイモ種の2つに大きく分けられます。

自然薯(ヤマノイモ種)と長芋(ナガイモ種)の違い

すりおろした山芋の画像

山芋と一口に言ってもさまざまな種類があり、代表的なものが自然薯と長芋です。両者はそれぞれ特徴的な風味や食感を持ち、料理によって使い分けると良いでしょう。それぞれの違いについて詳しく解説していきます。

定義の違い

<自然薯の定義>

自然薯はヤマノイモ科ヤマノイモ属のヤマノイモ種に分類される、日本原産の山芋です。古くから山中に自生する野生種として知られていましたが、近年では栽培も行われるようになっています。

すりおろして「とろろ」として食べられることが多く、「とろろイモ」と呼ばれることもあります。しかし、これは一般的な呼び名であり、品種名ではありません。

<長芋の定義>

長芋はヤマノイモ科ヤマノイモ属ナガイモ種に分類される、中国原産の山芋です。ナガイモ種はその形状によってナガイモ群(=長芋など)、ツクネイモ群(=大和芋、つくね芋など)、イチョウイモ群(=いちょう芋など)の3種類に分かれます。

スーパーマーケットでは長芋を含むナガイモ種が「山芋」として販売されていることも多く、これが混乱する原因になっているようです。

味わい・食感の違い

<自然薯の味わい・食感>

自然薯は非常に強い粘りを持ち、ナッツや土のような風味が特徴的で香ばしさが感じられます。

すりおろしてとろろにすると濃厚で、とろけるような舌触りになります。加熱するとふわっとした軽い食感になり、まろやかでコクが出やすいのが特徴です。

<長芋の味わい・食感>

長芋は粘りが比較的控えめで、味は淡白・あっさりしており、他の食材や調味料の風味を邪魔しにくいのが特徴です。シャキシャキとした歯応えがあるため、生で薄切りや千切りにして和え物などの食感を活かす料理に向いています。

クセが少なく食べやすいのが魅力で、すりおろすとトロトロしますが、自然薯ほど粘度は高くありません。

栄養価の違い

自然薯と長芋はどちらも栄養価が高く、含まれる栄養素もほとんど同じですが、含有量には違いがあります。可食部100gあたりの栄養価を比較すると、自然薯は長芋に比べてエネルギーや炭水化物がやや多い傾向にあります。

▼自然薯と長芋の主要な栄養成分の違い

自然薯 長芋
エネルギー 118kcal 64kcal
炭水化物 26.7g 13.9g
たんぱく質 2.8g 2.2g
脂質 0.7g 0.3g
食物繊維 2.0g 1.0g
ビタミンB1 0.11mg 0.1mg
パントテン酸 0.67mg 0.61mg
ビタミンC 15mg 6mg
カリウム 550mg 430mg
ビタミンE(α-トコフェロール) 4.1mg 0.2mg

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年


どちらもビタミンB群やビタミンC、カリウムなどのミネラルを豊富に含み、特に自然薯にはビタミンEが多く含まれています。

 

さらに、長芋や自然薯は消化酵素である「ジアスターゼ」を含んでいます。通常、芋類は加熱をしないと食べられないものがほとんどですが、この酵素には消化を助ける効果があり、でんぷんの一部が分解されるため、長芋や自然薯は生のままでも食べることができます。

自然薯と長芋のそれぞれに適した調理法・レシピ

山芋をすりおろしている画像

自然薯と長芋は、その特徴の近さから同じ品種のように広く親しまれていますが、実際には食感や風味が異なるため、調理法もそれぞれに合った方法を選ぶとより楽しむことができます。ここでは、長芋と自然薯にぴったりのおすすめレシピを紹介します。

長芋はサラダ、和え物がおすすめ!

長芋はシャキシャキとした食感が魅力。生で食べるとみずみずしい食感が際立つため、さっぱりとしたサラダや和え物に最適です。

火を使わず食卓に手軽に取り入れられるのも嬉しいポイントです。

おすすめレシピ!【マジカルサラダ】長芋と梅のさっぱりジュレサラダ

【マジカルサラダ】長芋と梅のさっぱりジュレサラダの画像

サクサクとした長芋に、ほど良い酸味のはちみつ梅を合わせたさわやかなサラダです。ドレッシングをジュレ状にしてかけることで、見た目も華やかに。さっぱりとした味わいで、食欲が落ちる時期にもぴったりの一品です。

ジュレは作りやすく多めの分量になっているので、余ったジュレはお好みのサラダなどにかけて楽しんでみてください。

材料(2人分)

 

作り方

  1. 長芋を角切りにし、はちみつ梅を粗く刻んでボウルに入れ、軽く混ぜ合わせておく。
  2. 耐熱容器に水を入れ、電子レンジ(600W)で約1分30秒加熱する。
  3. 2.で温めた水に粉ゼラチンを加えてよく溶かし、ドレッシングを加えて軽く混ぜる。
  4. 冷蔵庫で約3時間冷やし、固まったらフォークで崩してジュレ状にする。
  5. 器に1.を盛り付け、ジュレをお好みの量のせる。

自然薯はとろろがおすすめ!

自然薯は粘りが強く、濃厚な風味が特徴。その粘りを生かすなら、やはり「とろろ」料理が最適です。

ごはんやそばと組み合わせることで、自然薯ならではの旨みを存分に楽しめます。

おすすめレシピ!かつおと自然薯のSOBAボウル

かつおと山芋のSOBAボウルの画像

冷たいそばに、かつおのたたきとすりおろした自然薯をたっぷりのせたボリューム満点のSOBAボウルです。シャキシャキ野菜と香ばしいドレッシングの風味がとろろによく合い、暑い季節でもさっぱりと楽しめます。

材料(2人分)

 

作り方

  1. そばを茹でてざるにあげ、冷水でしめて水気をよくきる。
  2. たまねぎはスライスして流水にさらし、水気をきる。水菜は5cmに切り、自然薯はすりおろしておく。
  3. 器に1.を盛り、2.とかつおのたたきをのせ、ドレッシングを全体にかけておろししょうがを添える。

まとめ

自然薯や長芋などの山芋はいずれも栄養豊富で、日本の食文化を支える貴重な食材です。粘りや風味の違いを理解すれば、料理の仕上がりも一段とおいしくなります。特徴を活かした調理法を取り入れ、季節や気分に合わせて多彩な山芋料理を楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)

1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。

この記事をシェア

Xで共有する

LINEで送る

Facebookでシェアする

TOP すべての記事 山芋・長芋・自然薯の違いを徹底比較!おすすめの食べ方も紹介

PICK UP

ピックアップ