大玉、中玉、ミニトマトなど種類も豊富で、みずみずしく鮮やかな赤色が食卓に彩りを添えてくれるトマト。さまざまな料理に使いやすく人気のある食材ですが、「ついつい買い過ぎてしまい、食べ切れないうちに傷んでしまった…」という経験はありませんか?
実はちょっとしたコツを意識してトマトを保存すると、おいしく長持ちさせることができます。今回は、保存温度やトマトの形状ごとなど、さまざまな保存方法についてご紹介します。
トマトの保存方法1.常温保存(夏場は約3日、冬場は約1週間)
常温保存するとトマトの甘みをキープしやすくなります。ただし、気温が高い時期はトマトが傷みやすくなるため、余りそうなときや数日間使わないときは冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。高温多湿の状態が続くと、カビの原因になりかねないため注意しましょう。
【常温保存の手順】
- キッチンペーパーでトマトを1個ずつ包む。
- ヘタ側を下にしてトマト同士がくっつかないように均等に並べ、冷暗所(15〜25℃)で保存する。
ミニトマトを保存する場合は、パックから取り出して通気性の良いザルなどに並べて保存しましょう。
また、トマトが緑色でまだ完熟していないときは、赤くなるまで常温保存して追熟させることができます。追熟に必要な温度は15〜25℃なので、適温になるよう調節しましょう。
完熟した赤いトマトは緑色のトマトに比べて甘みが増し、トマトの赤い色素の一種で強い抗酸化作用のある「リコピン」などの栄養価もアップします。
トマトの保存方法2.冷蔵保存(約10日間)
トマトを長持ちさせたいときは、冷蔵保存がおすすめです。おいしさを保ちながらトマトを冷蔵保存する方法を、形状別にご紹介します。
トマトを丸ごと冷蔵保存する場合
夏に旬を迎えるトマトは気温が高い場所で栽培されるため、寒さや外部刺激に弱い特徴があります。そのため、チルド室で保存すると冷え過ぎによる低温障害を起こしてしまい、食感や味の劣化につながりかねません。冷蔵庫の中では、温度が下がりすぎない「野菜室」で保存するようにしましょう。
なお、トマトは冷蔵保存で7〜10日ほど保存できます。
【丸ごとの場合の冷蔵手順】
- キッチンペーパーでトマトを1個ずつ包む。
- ヘタ側を下にして、トマト同士がくっつかないように保存用のポリ袋に入れてしっかりと口を閉じておく。
- 冷蔵庫の野菜室に入れる。
トマトに含まれるエチレンガスは、野菜や果物の成長を促進する作用があります。ほかの野菜にエチレンガスが触れると熟成し過ぎて腐敗につながる場合があるため注意が必要です。トマトを冷蔵保存する際は、エチレンガスが外に漏れないよう袋の口をしっかり閉じておきましょう。
カットしたトマトを冷蔵保存する場合
一度カットしたトマトは傷みやすいため、余ってしまったときは冷蔵保存しましょう。ただしカットしたトマトをそのまま冷蔵庫で保管すると、断面が乾燥してジューシーさや風味が落ちやすくなってしまいます。
カットしたトマトを冷蔵保存するときは、空気に触れないようラップでぴったり包んで早めに食べましょう。切り口を下にして保存すると水分が流出しやすくなるため、カットした面を上にして保存するのがポイントです。
ミニトマトを冷蔵保存する場合
ミニトマトのヘタ部分は雑菌が繁殖しやすいため、取り除いてから保存することでおいしさが長持ちします。
【ミニトマトの冷蔵手順】
- ヘタを取り水洗いする。
- キッチンペーパーで水気を拭き取る。
- 保存容器の底にキッチンペーパーを敷き、ミニトマトを並べる。
- ミニトマトの上からキッチンペーパーをかぶせ、蓋をして冷蔵庫に入れる。
水洗いするときはトマトを傷付けないように丁寧に洗いましょう。水気が残ったまま保存すると湿気がこもりやすくなり、実割れする原因になるため、しっかりと水気を拭き取ってから保存することが大切です。
トマトの保存方法3.冷凍保存(約1か月間)
トマトが大量に余ってしまったときなど、すぐに使い切れないときは長期間保存できる冷凍保存がおすすめです。トマトを冷凍保存するときのポイントを形状別にご紹介します。
トマトを丸ごと冷凍保存する場合
トマトを新鮮な状態のまま冷凍保存すると、栄養素や味の劣化を防ぎやすくなります。数日のうちにトマトを食べたり、料理に使ったりしないときは早めに冷凍保存しておきましょう。
【丸ごとの場合の冷凍手順】
- トマトを軽く洗って水気を拭き取る。
- ヘタを包丁でくり抜く。
- 2を冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いて密閉する。
- ヘタを下にして冷凍庫に入れる。
トマトのヘタの部分は雑菌がつきやすいので、きれいに取り除いてから冷凍しましょう。
冷凍保存したトマトを水にさらすと、皮が簡単にむけるので湯むきが不要になり、下処理の手間がかかりません。さらに、流水に当てて半解凍状態になったトマトは包丁の刃も入りやすく、好きな形に切って普段通り調理に使えますよ。
ただし、冷凍トマトは解凍すると水分が多く出て食感が変化するため、生食ではなくトマトソースやスープなどの加熱調理が向いています。また、形も崩れやすくなるので、煮込み料理などにするのがおすすめです。
冷凍保存したトマトは細胞組織が壊されることで、生のトマトよりも旨み成分が溶け出しやすくなるメリットもあります。
カットしたトマトを冷凍保存する場合
トマトをすぐに使わないときは、ざく切りにして冷凍保存するのもおすすめです。カットした状態で冷凍しておけば、そのまま料理に使えて時短になります。
【カットする場合の冷凍手順】
- トマトを洗いヘタを取り除いてからカットし、余分な水気を軽く拭き取る。
- 冷凍用保存袋にトマトが重ならないように入れ、空気を抜いて密閉する。
- 2を冷凍庫に入れる。
トマトを平らにして冷凍保存しておくとトマト同士がくっつかずに済むため、使いたい分だけ取り出しやすくなります。
ミニトマトを冷凍保存する場合
ミニトマトも通常のトマトと同じように、冷凍で長期間保存することができます。
【ミニトマトの冷凍手順】
- ミニトマトのヘタを取り除き、水洗いする。
- キッチンペーパーで水気を拭き取る。
- 冷凍用保存袋にミニトマトが重ならないように並べ、空気を抜いて冷凍保存する。
ミニトマトを解凍したときに出る水分には、旨み成分がたっぷり含まれているので、ぜひ捨てずに活用してみましょう。スープや煮込み料理などには凍ったまま使えるので、旨みや栄養を逃さず摂取できます。
また、冷凍したミニトマトは解凍しても元通りの食感にはならず、サラダなどの生食には向きません。加熱してから食べるのがおすすめです。
そのほか、半解凍で味わう方法もあります。すべて解凍しきらないうちに食べれば、シャリシャリとした食感と自然な甘さが絶妙なシャーベットとしても楽しめますよ。
冷凍で長期間保存するときは、どれくらい前に冷凍庫に入れたか忘れてしまいやすいため、保存袋に冷凍した日にちを記載しておくと安心です。
トマトを冷凍する方法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
トマトは冷凍保存できる!冷凍するメリットやおすすめのレシピを紹介
まとめ
夏が旬のトマトは寒さに弱く傷みやすいため、正しい方法で保存することが重要です。すぐに食べ切れないときは、新鮮なうちに冷蔵保存または冷凍保存することをおすすめします。冷凍したトマトは旨みが増し、湯むきが不要になるため調理が楽になりますよ。
すぐに食べるときや、トマトがまだ完熟していないときは常温保存がおすすめです。それぞれメリットがあるため、保存する際に使い分けてみてくださいね。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。