ホクホクとした食感と甘みが魅力のかぼちゃ。煮物やスープ、サラダ、さらにはお菓子にも使える万能食材なうえ、緑黄色野菜にも分類されるなど、栄養面でも優れています。
今回は、かぼちゃに含まれる栄養素やその健康効果、栄養を効率良く摂取できる簡単レシピを紹介します。
かぼちゃに含まれる栄養素
かぼちゃの栄養成分の含有量は次の通りです。
<可食部100g当たりの栄養成分量>
栄養成分 | 西洋かぼちゃ | 日本かぼちゃ |
食物繊維 | 3.5g | 2.8g |
カリウム | 430mg | 420mg |
ビタミンA | 210μg
(レチノール活性当量) |
120μg
(レチノール活性当量) |
ビタミンE | 3.9mg
(α-トコフェロール) |
2.2mg
(α-トコフェロール) |
ビタミンK | 37μg | 26μg |
ビタミンB6 | 0.23mg | 0.15mg |
葉酸 | 42μg | 80μg |
ビタミンC | 43mg | 16mg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
続いて、かぼちゃに含まれる栄養素の健康効果を詳しくみていきましょう。
ビタミンE|強い抗酸化作用がある
ビタミンEには、強い抗酸化作用があります。
細胞を作る膜の働きを守るだけでなく、赤血球の破壊を防ぎ、生殖機能を保つ役割も担っています。さらに、老化を防ぐ効果もあります。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりには3.9mg、日本かぼちゃ可食部100gあたりには2.2mgのビタミンE(α-トコフェロール)が含まれています。
ビタミンA(主にβ-カロテン)|目や皮膚を守る
かぼちゃは、ビタミンAの中でもβ-カロテンが多く含まれます。
β-カロテンは、摂取するとその一部が体内でビタミンAに変換される、プロビタミンA(ビタミンA前駆物質)の一種です。β-カロテンには強い抗酸化作用があり、肌の健康維持やがん予防に役立つといわれています。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりには210μg(うちβ-カロテンが2,600μg)のビタミンAが、日本かぼちゃ可食部100gあたりには120μg(うちβ-カロテンが1,400μg)のビタミンAが含まれています。
葉酸|赤血球の生産を助ける
葉酸は、ビタミンB12とともに赤血球の生産を助ける栄養素です。
細胞の生産や再生を促すことから、身体の発育にも役立ちます。そのため、特に妊娠中の女性にとっては、胎児の発育にも関わる重要な栄養成分です。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりの葉酸の含有量は42μg、日本かぼちゃ可食部100gあたりの葉酸の含有量は80μgです。
ビタミンK|血液の凝固や骨の形成を促す
ビタミンKは、血液凝固に作用する栄養素です。この栄養素が不足すると血が固まるのに時間がかかり、出血が止まりにくくなります。
また、ビタミンKは骨に存在するたんぱく質であるオステオカルシンを活性化し、カルシウムを骨に沈着させ骨の形成を促す働きもあります。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりには37μg、日本かぼちゃ可食部100gあたりには26μgのビタミンKが含まれています。
ビタミンC|コラーゲンの生成に必須
ビタミンCは、水溶性ビタミンの一種です。体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
骨や腱などの結合組織を構成する、コラーゲンというたんぱく質の生成にも必須の栄養素です。
また、毛細血管や歯、軟骨などを正常に保つほか、皮膚のメラニン色素の生成を抑えて日焼けを防いだり、ストレスや風邪などに対する抵抗力を高めたりする作用もあります。
加えて抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防、老化防止にも有効です。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりには43mg、日本かぼちゃ可食部100gあたりには16mgのビタミンCが含まれています。
食物繊維|腸内環境を改善する
食物繊維は体内に吸収されないものの、健康維持に重要な役割を果たしていることから「第六の栄養素」として注目されている成分です。
食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
水溶性食物繊維は小腸での栄養素の吸収スピードを緩め、食後の急激な血糖値の上昇を抑制します。また、コレステロールを体外に排出することで、血中のコレステロール値を下げてくれるのも特徴のひとつです。ナトリウムを排出する作用もあり、高血圧を予防する効果も期待できます。
一方、不溶性食物繊維は水分を吸収して便のかさを増やします。大腸が刺激され、スムーズな排便につながるのです。
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維のいずれも大腸内の細菌によって発酵・分解され、ビフィズス菌などの善玉腸内細菌のエサになって増殖を促し、腸内環境を整えます。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりに含まれる食物繊維は3.5g、日本かぼちゃ可食部100gあたりに含まれる食物繊維は2.8gです。
カリウム|身体の各機能を維持する
カリウムは、ナトリウムとともに体内に必要な水分量を保つ、体内のpHバランスを一定の範囲に維持する、運動機能や思考などを正常に保つなどの働きがある栄養素です。
心臓や筋肉の機能を調節したり、体内のさまざまな生命活動を適切に保ったりする作用もあります。
さらに、カリウムは腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、体外への排出を促すことで血圧を下げる効果があります。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりのカリウム含有量は430mg、日本かぼちゃ可食部100gあたりのカリウム含有量は420mgです。
ビタミンB6|アミノ酸の代謝を助ける
ビタミンB6は、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸の代謝を助ける栄養素です。そのため、皮膚や粘膜、髪、歯、爪などを健康に保つのに役立ちます。
そのほか、体中に酸素を運搬するヘモグロビンを作ったり、神経の働きを助けたりする役割があります。また、脂肪の代謝にも関わっています。
西洋かぼちゃ可食部100gあたりに、0.23 mgのビタミンB6が含まれています。
かぼちゃの種に含まれる栄養素
かぼちゃの種は捨ててしまいがちですが、実は多くの栄養素が含まれており、特にマグネシウムや亜鉛、鉄が豊富です。
外側の硬い殻をむき、ローストしたりフライパンで炒ったりすることでおいしく食べられます。
かぼちゃの種に含まれる栄養素は、次の通りです。
<かぼちゃの種(炒り/味付け)可食部100gあたりの栄養成分量>
マグネシウム | 530mg |
亜鉛 | 7.7mg |
鉄 | 6.5mg |
食物繊維 | 7.3g |
銅 | 1.26mg |
カリウム | 840mg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
かぼちゃの栄養を逃さない調理のコツ
かぼちゃに含まれる栄養素の中には、加熱によって失われやすいものもあります。せっかくの栄養をムダにしないためには、調理法にひと工夫加えるのがポイントです。
かぼちゃの栄養を逃さない調理のコツをみていきましょう。
茹で汁も料理に活用する
かぼちゃに含まれるビタミンCやカリウムは水に溶けやすい性質があるため、茹でるとお湯の中に栄養素が流出してしまいます。
かぼちゃを茹でる場合は茹で汁ごと食べられるスープにすることで、栄養を余すことなく摂取できます。
油を使って調理する
かぼちゃに含まれるβ-カロテンやビタミンEは脂溶性ビタミンのため、油と一緒に摂ると吸収率が高まります。
効率良く栄養を摂取するなら、炒め物や揚げ物など、油を使った調理法がおすすめです。
電子レンジで加熱する
電子レンジでの加熱も、かぼちゃの栄養を逃さず調理できるおすすめの方法です。
ラップで包んで加熱すれば水を使わずに済み、水溶性の栄養素が流れ出るのを防げるうえ、手軽に調理できます。
加熱の目安は、1/4カット(約300~400g)の場合600Wで4〜5分です。竹串がすっと通るくらい加熱しましょう。
皮ごと調理する
かぼちゃの皮にも栄養素が含まれているため、皮をむかずに丸ごと食べたほうが栄養素を多く摂取できます。
硬くて食べにくい場合は、薄くそぐようにところどころ皮をむくと口当たりが良くなるうえに、煮崩れもしにくくなります。
かぼちゃの栄養素をたっぷり摂れるレシピ2選
ここまでに紹介したかぼちゃの栄養素を逃さないポイントを踏まえ、かぼちゃの栄養素をたっぷり摂れるおすすめレシピを2つ紹介します。
【マジカルサラダ】かぼちゃの和風バター醤油炒め
材料(2人分)
- かぼちゃ…1/4個(300g)
- バター…10g
- いりごま(白)…小さじ2
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ2
作り方
- かぼちゃは種とわたを取り除き、耐熱容器に入れる。ふんわりラップをかけ、電子レンジ(600W)で4分加熱してから1cmほどの厚さに切る。
- フライパンにバターを熱し、中火で1を炒める。焼き色がついたらピエトロドレッシングを加えて全体になじませ、いりごま(白)をふる。
ピエトロのレシピサイト「マジカルサラダ」特集レシピでは、かぼちゃの和風バター醤油炒めをはじめ、サラダづくりの悩みを解消するアイデアレシピを多数紹介しています。いつものサラダにひと工夫加えたいときは、ぜひチェックしてみてください。
かぼちゃとチーズ、バジルソースの春巻
材料(2人分)
- 小麦粉…適量
- 春巻きの皮…4枚
- かぼちゃ…300g
- モッツァレラチーズ…50g
- おうちパスタ バジル…適量
- 揚げ油…適量
作り方
- かぼちゃは皮を取り除き、短冊切りにしておく。
- 春巻の皮の真ん中よりやや手前に、かぼちゃとモッツァレラチーズをのせ、その上からおうちパスタをかける。
- 具材が長方形になるように形を整え、空気を抜きながら巻いていく。巻き終わりは下にして置いておく。
- フライパンに揚げ油を入れて170度程に熱し、3を巻き終わりの部分を下にして油に入れる。
- 3分ほど揚げてこんがりと焼き色がついたら裏返す。裏面も同様に揚げる。
まとめ
かぼちゃはビタミン類や食物繊維、カリウム、葉酸などさまざまな栄養素を含む野菜です。
電子レンジや油を使った調理法のほか、茹で汁も料理に活用することで栄養を逃さずに摂取できます。実だけでなく皮や種にも栄養が含まれているため、ぜひ捨てずにおいしく活用しましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。