大根には、ビタミンCや食物繊維、カリウムなど、健康維持に役立つさまざまな栄養素が含まれています。また、大根の根だけでなく、葉にもβ-カロテンやカルシウムなどの栄養素が豊富に含まれており、余すことなく活用したい野菜のひとつです。一方で、調理方法によっては栄養素が失われやすいものもあるので、栄養を効率よく摂るためには、食べ方を工夫することも大切です。
今回は、大根に含まれる主な栄養素やその働き、栄養を逃さない調理のポイント、おすすめの簡単レシピについて解説します。
大根の主な栄養素・働き

大根の根は可食部100gあたり15kcalと低カロリーな野菜として知られています。それだけでなく、身体の健康維持に役立つ栄養素も多く含まれています。
特に注目の栄養素と、その成分は次の通りです。
▼(表)大根の根と葉の可食部100gあたりに含まれる主な栄養素
| 大根/根(皮つき) | 大根/葉 | |
|---|---|---|
| エネルギー | 15kcal | 23kcal |
| 水分 | 94.6g | 90.6g |
| ビタミンC | 12mg | 53mg |
| 食物繊維 | 1.4g | 4.0g |
| カリウム | 230mg | 400mg |
| β-カロテン当量 | 0μg | 3,900μg |
| カルシウム | 24mg | 260mg |
大根の特徴は、根と葉で含まれる栄養素やその働きが異なる点です。大根の根は約95%が水分で、みずみずしさが特徴です。ビタミンCやカリウム、食物繊維を含むほか、消化を助ける酵素も含まれています。
一方、大根の葉は、β-カロテンやビタミンK、ビタミンC、葉酸、カルシウム、鉄、食物繊維を豊富に含む、栄養価の高い部位です。特に、カルシウムや鉄は根よりも葉に多く含まれています。
ここでは、大根に含まれる特に注目したい栄養素と、その働きについて紹介します。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
ビタミンC
ビタミンCは、大根の根にも葉にも含まれる栄養素です。特に皮に近い部分に多く含まれているので、皮を薄くむいたり、よく洗って皮ごと調理したりすることで、ビタミンCを無駄なく摂ることができます。
ビタミンCは、骨や腱などを構成するコラーゲンの生成に欠かせない栄養素であり、毛細血管や歯、軟骨などを健康に保つためにも役立ちます。また、メラニン色素の生成を抑え、日焼けによるシミやそばかすを防ぐ働きを助けるほか、抗酸化作用によってストレスや風邪などに対する抵抗力を高める働きも期待できます。
食物繊維
食物繊維は、大根の根にも葉にも含まれ、腸内環境を整える働きがあります。特に葉には根よりも多く含まれているため、葉まで余すことなく食べることで食物繊維を効率良く摂取できます。
食物繊維には、小腸での栄養素の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の上昇を抑える働きもあります。
また、コレステロールを吸着して体外への排出を助けるほか、ナトリウムの排出を促す働きもあります。
低カロリーで満腹感を得やすいという特徴もあるため、健康的な食生活を意識するうえで、積極的に摂りたい栄養素です。
カリウム
カリウムは、大根の根にも葉にも含まれるミネラルで、特に葉に多く含まれています。ナトリウムとともに、体内の水分バランスや細胞の浸透圧を維持・調整するほか、神経刺激の伝達、心臓や筋肉の機能維持など、身体のさまざまな働きに関わっています。
また、腎臓でのナトリウムの再吸収を抑え、尿中への排泄を促す働きもあります。塩分の摂りすぎが気になる方の健康的な食生活をサポートする栄養素です。
β-カロテン
β-カロテンは、大根の葉に多く含まれる栄養素で、根にはほとんど含まれていません。大根の葉のβ-カロテン当量は100gあたり3,900μgと、緑黄色野菜の分類基準(β-カロテン当量600μg/100g以上)を大きく上回るほど、豊富に含まれていることが特徴です。
β-カロテンは、体内で必要に応じてビタミンAに変換され、皮膚や粘膜の健康維持を助けるほか、目の健康を保つ働きもあります。また、抗酸化作用を持つことも特徴のひとつで、健康維持をサポートする栄養素です。
出典:厚生労働省「○「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」の取扱いについて」
カルシウム
カルシウムは、大根の葉に多く含まれるミネラルで、根よりも豊富に含まれています。骨や歯の主要な構成成分となるほか、細胞の分裂・分化、筋肉の収縮、神経の働きの調整、血液凝固作用の促進など、身体のさまざまな機能に関わる重要な栄養素です。
大根が「身体に良い」と言われる理由

大根には、これまで紹介した豊富な栄養素のほかに、大根ならではの消化酵素と辛み成分が多く含まれています。
消化酵素とは、炭水化物やたんぱく質、脂質などを分解する働きを持ち、食べものを消化吸収するために欠かせない酵素です。
例えば、次のような酵素が含まれています。
- アミラーゼ
「炭水化物」に含まれるでんぷんを分解し、食べ物の消化を助ける酵素です。 - プロテアーゼ
「たんぱく質」を分解する酵素です。大根おろしに含まれるプロテアーゼは、肉や魚をやわらかくするための下ごしらえに活用されることもあります。 - リパーゼ
「脂肪」を分解する酵素です。ステーキや天ぷらなど脂っこい料理に大根おろしを添える食べ方は、消化を助ける方法のひとつとして知られています。
また、大根おろしの辛みは、「イソチオシアネート」と呼ばれる成分に由来しています。大根は上部より下部のほうが辛みが強く、これは先端に近いほどイソチオシアネートが多く含まれているためといわれています。
イソチオシアネートには抗酸化作用があり、健康維持に役立つ成分として注目されています。
大根の栄養を逃さない調理のポイント

大根は皮や葉にも栄養が含まれており、調理方法によって摂れる栄養素にも違いがあります。ここでは、大根の栄養を無駄なく摂るための食べ方のポイントを紹介します。
皮まで食べる
大根は、皮の近くにも栄養が含まれています。よく洗ってから、皮ごと調理するのもおすすめです。
煮物などで皮をむいた場合は、むいた皮を干したり、きんぴらにしたりして活用すると、大根の栄養を逃さず摂取できます。
生で食べる
大根に豊富に含まれる消化酵素やビタミンC、イソチオシアネートは、加熱によって影響を受けるため、生で食べることでそれらの成分を摂取しやすくなります。大根おろしやサラダなどにして、生で食べるのがおすすめです。
消化酵素は時間の経過とともに働きが弱くなるため、大根おろしなどは食べる直前に調理すると良いでしょう。
葉も食べる
大根の葉には、β-カロテンやビタミンE、ビタミンKといった脂溶性ビタミンが豊富に含まれています。これらの栄養素を効率よく摂るには、油と一緒に調理するのがポイントです。
ごま油でさっと炒め、じゃこやごまを加えてふりかけにし、ごはんに混ぜて食べるとおいしく食べられるのでおすすめです。
大根の簡単レシピ4選
ここでは、大根の食感や味わいを楽しめる簡単レシピを4つ紹介します。
さわやか豚ばら角煮大根

ドレッシングに含まれる酢の効果で、こってりしすぎないさっぱりとした角煮に仕上がります。じっくり煮込んだ大根と豚ばらの旨みが染み込むひと品は、体が温まる寒い季節にぴったりです。
材料(2人分)
- 豚ばら肉(ブロック)…300g
- 大根…1/4本
- 厚揚げ…1丁
- にんにく…4片
- マーマレード…70g
- 白ワイン…70ml
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…210ml
作り方
- <下準備>
豚ばら肉を2cmの厚さに切ってポリ袋に入れ、ドレッシング60ml、マーマレード、皮をむいたにんにくを加えてしっかりもみ込み、冷蔵庫で2時間ほど置く。 - 大根は皮をむいて2cmの厚さに切り、電子レンジでやわらかくなるまで加熱する。
- 下味をつけて冷やしておいた豚ばら肉を漬け汁ごと鍋に入れ、大根と残りのドレッシング、白ワインを加えて強火で煮立たせる。
- 弱火にし、ひと口大に切った厚揚げを加えて、煮汁が3分の1程度になりとろみがつくまで25分ほど煮る。
大根とさつまいものシャキほくサラダ

大根のシャキシャキとした食感と、さつまいものほくほくとした食感が楽しめる、簡単でおいしいサラダです。さつまいもがおいしくなる秋から冬にかけて、副菜やおつまみとしてもおすすめのひと品です。
材料(2人分)
- 大根…200g
- さつまいも…1本(150g)
- ツナ缶(オイル漬け)…70g
- ブロッコリースプラウト…1パック
- ピエトロドレッシング 和風しょうゆ…大さじ2
作り方
- 大根は皮をむき、細切りにする。
- さつまいもは皮つきのまま細切りにして水にさっとさらし、耐熱ボウルに入れてふんわりとラップをかけ、600Wの電子レンジで3分ほど加熱してから粗熱を取る。
- ボウルに大根、さつまいも、油をきったツナ、ドレッシングを加えて和え、盛りつける直前にブロッコリースプラウトを加えてさっくりと混ぜる。
大根ステーキ きのこベーコン添え

大根の旨みが凝縮された、とてもジューシーな大根ステーキです。大根が甘みを増しておいしくなる冬に食べたい、体も温まるひと品です。
材料(2人分)
- 大根(葉付き)…300g
- ぶなしめじ…80g
- ベーコン…2枚
- ピエトロドレッシング グリーン 和風しょうゆ…大さじ2
作り方
- 大根は皮をむいて3cm厚さの輪切りにし、600Wの電子レンジで1分30秒ほど加熱した後、フライパンで両面に焼き色がつくまで焼いて取り出す。
- 大根の葉、ベーコン、ぶなしめじをそれぞれ食べやすい大きさに切る。
- 油をひいたフライパンで2.を炒め、ドレッシングで味を調える。
- 器に大根ステーキを盛りつけ、3.をのせる。
大根のたらこサラダ

大根を塩もみすることで、まるでイカのようなつるっとした食感に変身する、おつまみにもぴったりのヘルシーな一品です。さっぱりとした味わいで、食欲が落ちやすい暑い季節にもおすすめです。
材料(2人分)
- 大根…200g
- 塩…1g
- レタス…適量
- かいわれ大根…適量
- レモン…1/6切れ
- おうちパスタ たらこ…大さじ3(仕上げ用に適量)
作り方
- 大根は皮をむき、1〜2mm幅の輪切りにしてから細切りにする。
- ボウルに1.を入れて塩をふり、軽くもんでラップをかけ、10分ほどおく。
- 2.を流水で洗って水気をよく切った後、ペーパータオルで包んで水分を絞る。
- 3.をボウルに移し、おうちパスタ大さじ3を加えて、ゴムベラでよく混ぜる。
- 器にレタスを敷いて盛りつけ、かいわれ大根をのせておうちパスタ(仕上げ用)をかけ、レモンを添える。
まとめ
大根は、ビタミンCや食物繊維、カリウムなどを含み、根だけでなく葉にもβ-カロテンやカルシウムなどの栄養素が豊富な野菜です。皮ごと調理したり、生で食べたり、葉を油と一緒に調理したりすることで、それぞれの栄養を効率良く摂取できます。煮物やサラダ、ステーキなど幅広い料理に使えるのも魅力です。今回紹介した調理のポイントやレシピを参考に、大根の栄養を余すことなく日々の食事に取り入れていきましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴35年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。




