ほうれん草は栄養豊富で食卓に欠かせない野菜ですが、下ごしらえや茹で方を間違えると風味や食感を損ねてしまいます。根元の汚れを落とす工夫や、鍋・フライパン・電子レンジといった調理器具別の茹で方の違いを知ることが、おいしさを引き出すポイントです。
今回は、初心者でも失敗しにくい、ほうれん草の下処理と茹で方のコツを解説します。
ほうれん草を茹でる前の下処理方法

ほうれん草はそのまま茹でると、根元に土や汚れが残りやすい野菜です。おいしく仕上げるためには、下処理の段階でしっかりと洗い、火の通りを良くしておくことが大切です。
ここでは、調理前に行う下処理の手順について解説します。
根元に十字の切り込みを入れる
茹でる前に、ほうれん草の根元に十字の切り込みを入れましょう。汚れが水の中で広がり、落ちやすくなります。また、熱も均等に伝わりやすくなるため、茹で上がりがきれいになります。
ただし、根元が小さい場合は一文字の切り込みでも十分です。深く切り込みを入れすぎると株がバラけてしまうので、加減をしながら処理することがポイントです。
根元を水に浸して振り洗いする
大きめのボウルに水を張り、根元部分を浸して上下に振るように洗いましょう。茎の隙間を少し広げながら振ると、奥に入り込んでいた泥が浮き出てきます。この「振り洗い」をすると、流水よりも効率良く汚れを落とせます。
一度で落ちきらない場合もあるため、水を入れ替えて1~2回繰り返すと安心です。その後、葉の部分も同じように水の中で軽く洗い流すと、全体が清潔に整います。
この下処理をしっかり行っておけば、ほうれん草の風味を損なわず、安心しておいしく調理することができます。
ほうれん草のおすすめの茹で方

ほうれん草を茹でる方法はいくつかありますが、仕上がりや時短効果、栄養価の保持など、それぞれに特徴があります。ここでは「鍋」「フライパン」「電子レンジ」の3つの方法とメリットを紹介します。
色味をキープするなら「鍋」
たっぷりのお湯で茹でる鍋での方法は、ほうれん草の鮮やかな緑色をキープできるのが特徴です。
ほうれん草を鍋で茹でる手順
- 鍋に水2リットルを入れて沸騰させ、色止めのために塩大さじ1/2を加える
- ほうれん草を根元から半分程度まで湯に入れ、約30秒茹でた後、葉先も入れて全体を1分半ほど茹でる
- 冷水に1~2分さらし、冷めたら引き上げる
- 根元を上にして揃え、上から下へ水気を絞る
- お好みの長さに切る
沸騰時間を短縮するなら「フライパン」
フライパンなら、少量のお湯で茹でられるため、お湯を沸かす時間を短縮できます。また、深めのフライパンを使うと、鍋と同じように一度で1束(1袋分)を茹でられるので効率的です。
ほうれん草のアクをしっかり抜きつつ、手軽に茹でたいときにおすすめです。
ほうれん草をフライパンで茹でる手順
- 深めのフライパンに深さ2〜3cmの湯を沸かし、塩小さじ1/2を入れる
- ほうれん草を広げて入れ、蓋をして30秒蒸す
- 裏返してさらに30秒蒸し、取り出す
- 冷水に1~2分さらし、冷めたら引き上げる
- 根元を上にして揃え、上から下へ水気を絞る
- お好みの長さに切る
時短&栄養を守るなら「電子レンジ」
電子レンジならお湯の準備がいらないため、手軽に調理できます。さらに、ビタミンCなどの水溶性の栄養素が他の調理法より逃げにくいのもメリットです。ほうれん草の栄養素をしっかり残して茹でたいときにおすすめです。
ほうれん草を電子レンジで茹でる手順
- ほうれん草(1束)は4〜5cm幅に切り、濡れたままラップで包む
- 600Wの電子レンジで約2分加熱する
- ボウルに水を張り、冷水にさらす
- 水気をしっかり絞る
関連記事:「ほうれん草の栄養は?無駄なく摂るコツやレシピも紹介」
ほうれん草の最適な茹で時間は?

ほうれん草は茹で時間によって食感や色合いが大きく変わります。シャキッと感を楽しみたいのか、やわらかさを重視するのか、お好みで仕上がりを調整できるのが魅力です。ここでは、目的に合わせた具体的な茹で時間の目安を紹介します。
1分(茎30秒・全体30秒)|シャキッと硬め
歯ごたえを残したい方には、合計1分ほどの短めの茹で時間がおすすめです。
茎を先に30秒茹でた後、葉を入れてさらに30秒ほど茹でると、シャキッとした食感が残ります。見た目も鮮やかに仕上がるため、おひたしや和え物など幅広い料理に活用しやすいのが特徴です。しっかりした歯ごたえが好きな方は、この茹で時間を試してみてください。
おすすめレシピ

シャキッとした食感を活かすなら、「ほうれん草のごま和え」がおすすめです。茹でたほうれん草を3cm幅に切り、ピエトロドレッシング 焙煎香りごまで和えるだけの簡単レシピ。ごまの香ばしさとほうれん草の歯ごたえが楽しめる一品です。
1分半(茎30秒・全体1分)|バランスの良い食感
シャキッと感とやわらかさの両方を楽しみたいなら、1分半ほどの茹で時間が最適です。
茎を30秒、葉まで入れて1分茹でることで、適度な歯ごたえを残しつつも甘味が引き出されます。味と食感のバランスが良く、多くの方に好まれる仕上がりになります。
おすすめレシピ

バランスの良い食感を活かすなら、「クリームチーズで白和え」がおすすめです。茹でたほうれん草にクリームチーズとピエトロドレッシング 焙煎香りごまを混ぜ合わせるだけ。約20分で完成し、ごまの甘みとチーズの組み合わせが絶妙な一品です。前菜としてはもちろん、トーストしたバゲットにトッピングすればおつまみとしても楽しめます。
2分(茎30秒・全体1分30秒)|やわらかめ
小さなお子さまや高齢の方にも食べやすくするなら、2分ほどの茹で時間がおすすめです。
茎を30秒、葉まで入れて1分30秒ほど茹でると全体がやわらかく仕上がります。ただし、これ以上茹でると食感が損なわれるだけでなく、旨みや栄養も逃げやすくなるため注意が必要です。
おすすめレシピ

ほうれん草をやわらかく茹でるなら、「白身魚とほたてのグリル」がおすすめです。茹でたほうれん草をバターで味付けし、その上に香ばしく焼いた白身魚とほたてをのせ、ピエトロドレッシング プレミアムフレンチをかけるだけ。見た目も華やかな一品です。
茹でたほうれん草の保存方法
茹でたほうれん草は冷蔵ではあまり日持ちしないため、保存するなら冷凍保存が基本です。冷凍すれば1か月ほど持ち、必要なときに凍ったまま加熱調理に使えるのでとても便利です。
なお、冷凍保存を見越して茹でる場合は、少し硬めに茹でておくのがおすすめです。加熱調理の際にちょうど良いやわらかさになります。
茹でたほうれん草を冷凍保存する手順
- 茹でて水気を絞ったほうれん草を3~4cm程度の長さに切る
- さらに水気をしっかり絞ったら、手でほぐす
- 使いやすい量に分け、ラップの上に平らに広げて全体を包む
- 冷凍用保存袋に入れ、できるだけ空気を抜いてから冷凍庫で保存する
冷凍したほうれん草は、凍ったまま味噌汁や炒め物、グラタンなどに加えて使うことができます。保存の手間を少し工夫するだけで、毎日の食事作りがぐっと楽になります。
関連記事:「ほうれん草はどうやって保存すれば良い?保存時の手順とポイントを紹介」
まとめ
ほうれん草は、正しい下処理で汚れをしっかり落とし、調理方法や茹で時間を工夫することで、彩りも栄養も損なわずに仕上げられます。茹でたあとの保存方法まで押さえれば、日々の料理がより快適になります。今回紹介した方法を実践し、ほうれん草をおいしく活用していきましょう。
監修者プロフィール

小森 幸夫(こもり ゆきお)
1971年3月29日生まれ。 シェフ歴30年以上にのぼるピエトロの名物シェフ。野菜ソムリエの資格も持つ。 ホテル・レストランシェフとして10年経験を積んだ後、縁あってピエトロへ入社。 日々厨房に立ち、商品のアレンジメニューやおいしい食べ方を追求しながら、繊細かつユーモラスなメニューの開発を担当。また、大人向け、子ども向けの幅広いジャンルの料理教室も開催するなど、ピエトロの多くの事業に携わっている。




